日経ものづくりは、本年も「ものづくりパートナーフォーラム」(2013年11月20・21日、東京都立貿易産業センター)を開催します。加工を依頼する人が図面を持ち込んでいきなり商談が始まる、という伝統のあるイベントで、本年で16回目の開催になります。このイベントを応援するため、出展企業を取材したことのある編集部員がその内容やこぼれ話を4回にわたって連載します。

 日経ものづくり2013年8月号「難加工材に挑む」の取材で訪問した新日本テック(本社大阪市)では、超硬合金をはじめとする難加工材のマシニングセンタによる切削加工の試みについてお聞きしました。同時にお聞きしたのが、使用済みの超硬工具を回収する取り組み。同社取締役社長の和泉康夫氏は、回収に取り組む一般社団法人ネオマテリアル創成会の理事も務めておられます。

 超硬工具の主要材料であるタングステンは、レアメタルの一種であり、ほぼ100%を海外からの輸入に依存しています。しかし日本国内での超硬合金のリサイクル率はわずか20%程度で、残りは廃棄されるか、スクラップとして海外に輸出してしまうそうです。もともと日本国内で産出できないのに海外に出してしまうとは「もったいない話だし、日本の競争力を維持するという観点でも大きな問題ではないか」(和泉氏)。

 回収は、同会に入会(無料)した上で、宅配便で送ったり持ち込んだりすれば、超硬合金の重さに応じて買い取ってもらえるようです。買い取り価格は、タングステン相場に連動した価格で、会員はWebで確認できるとのことです。回収した使用済み工具は材料として再生して、国内の超硬工具メーカーが再度利用します。

 レアメタルの問題は一頃より騒がれなくなったようですが、日本の弱点であることには変わりはありません。せっかく購入した資源はずっと大事に使うことは、使用量を減らす取り組みに負けず劣らず重要なように思えます。