スマート社会を実現するエネルギー技術の情報をお届けする「エネルギー」サイトに投稿の全記事を対象に、直近4週間(2013年10月11日~11月10日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。よく読まれたのは、メガソーラー(大規模太陽光発電所)関係、特にトラブルに関する記事だった。
今回アクセスが最も多かったのは、「特集・解説:メガソーラー・トラブルシューティング」の第1回の記事。タイトルは「メガソーラーに「停止」はつきもの、1カ月間以上、売電していなかった例も」である。この記事は、日本PVプランナー協会の理事で、横浜市で太陽光発電システムのEPC(設計・調達・建設)サービス企業を経営している池田真樹氏へのインタビューをまとめたものだ。同氏によれば、固定価格買取制度(FIT)によって、太陽光発電は明確に「投資」になり、事業者から「1日たりとも停めないでくれ」という要求が過去とは比較にならないほど強まった。
風車のように可動部分のない太陽光発電は外から見ても異常に気付きにくい。それでも目に見えるところに設置してあれば、専門家ならパワーコンディショナ―(PCS)などの音を聞けば異常があればわかる。しかし、離れたところで無人で稼働するメガソーラーの場合、稼働中にどんな不具合が起こり、それにどう対処すべきなのか、国内での先行事例がほとんどないだけに試行錯誤しつつ模索している段階だという。メガソーラーのオーナーになって、多くの人が意外に感じるのは、「太陽光発電所は、予想以上に頻繁に止まる」ことだとした。
トラブル回避回路がアダに
「特集・解説:メガソーラー・トラブルシューティング」の第2回の記事も4位になった。こちらの記事のタイトルは「稼働後まもなくパネル40枚に出力異常、直流回路ごとの監視で発見」である。第1回目の続編で、池田真樹氏へのインタビューをまとめたものだ。同氏によれば、太陽光パネルの回路には、「バイパス・ダイオード」が組み込まれており、部分的に異常があって、そこを回避して電流が流れることで、出力が低下しない設計になっている。仮に1枚のパネルがまったく発電していなくても、そのパネル1枚だけがないものとして発電しつづける。
メガソーラーのような大規模システムの場合、バイパス・ダイオードがある意味でネックになり、不良パネルを見つけにくくなっている。数千枚のパネルのうち数枚が発電していなくても、全体の発電量から異常を見つけ出すのは至難の業だ。そこで、同氏が推すのが、「ストリング監視」と呼ばれる監視システムの採用である。「ストリング」とは、複数の太陽光パネル(太陽電池モジュール)を直列に繋いだ1回路のことで、通常はパネル10~20枚の直列回路になる。このストリングごと、すなわち、監視するパネルの枚数の単位を小さくして監視すべきだという。
現地取材記事にも高い関心
メガソーラー関連で、トラブルに次いで人気があるのが、記者が各地のメガソーラーを実際に訪れて取材する「特集・解説メガソーラー探訪」シリーズ。例えば今回は、山口県防府市にある施設の記事が3位、三重県伊勢市にある施設の記事が6位になった。前者は、田畑の上に太陽光パネルを設置し、農作物の育成と発電事業で太陽の光を分け合う「ソーラーシェアリング」タイプのメガソーラーである。この記事では、農作物の育成に必要な日射量を確保しながら、農地の上に太陽光パネルを設置するためのシステムを開発した農業法人「ルネサンスエコファーム」が山口県防府市にある同社の農地に作ったメガソーラーを紹介した。
一方、後者は、地方の郊外型の分譲住宅地の隣に建設されたメガソーラーである。三重交通グループホールディングスの子会社の三交不動産が三重県伊勢市に建設した「伊勢二見メガソーラー光の街」の隣に、このメガソーラーは存在する。三交不動産は、三重交通が運営するバス路線の沿線を中心に、不動産の開発に取り組んできた企業である。