表彰式の様子
表彰式の様子
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 日経ものづくりは、2013年11月6日(水)、「システム コントロール フェア2013(SCF 2013)」「計測展2013 TOKYO」の会場である東京ビッグサイト 西ホールのアトリウムステージで、「強い工場アワード」の審査結果発表と表彰式を行いました(詳しくはこちら)。

 第1回となる今回は、本誌が注目した、特徴ある建物や施設を備えることで、新興国などでは造れない日本ならではの製品/部品を製造している工場を対象としました。

 まず、優秀賞に選ばれたのが、下記の5つの工場です。(1)コベルコ建機の五日市工場、(2)サイベックコーポレーションの夢工場、(3)三菱電機 コミュニケーション・ネットワーク製作所 郡山工場、(4)オムロン 綾部工場、(5)大和ハウス工業 奈良工場第一工場です。

 そして、これらの中から、強い工場アワードの審査委員会で大賞他が選定されました。いざ審査を始めたところ、作業は難航を極めました。5つの工場はいずれも日経ものづくりの特集記事で大々的に取り上げられた名うての工場ばかりだからです。審査委員のダイヤ精機 取締役社長の諏訪貴子氏は「どの工場も大変立派」と感想を漏らしたほどです。

 優秀賞を受賞した5工場すべてについて、審査委員会が活発な議論を繰り広げ、その結果、大賞と審査員特別賞を各1つずつ選出することで決着しました。大賞に決まったのは、自動車用精密部品などを手掛けるサイベックコーポレーション(長野県塩尻市)の夢工場です。夢工場の中核をなすのが、2012年9月に稼働を始めた地下11mの金型加工用新工場です。建設費用はおよそ18億円。年間売上高が約20億円の同社にとっては大勝負といえます。アワード審査委員長の元韓国Samsung Electronics常務の吉川良三氏(東京大学大学院 経済学研究科 ものづくり経営研究センター 特任研究員)は、サイベックのこうした意気込みを高く評価したと語ります。「日本の経営者の弱点は投資に及び腰なところ。9割方うまくいくと思っても、石橋を叩いて渡らない。これに対して、約20億円の売上高の会社が18億円の投資をした。こうした経営者の姿勢は、多くの日本のメーカーが学ぶべきものがある」と絶賛しました。

 サイベックに次いで、審査委員会の支持を集めたのが、審査員特別賞を受賞したオムロン 綾部工場です。この工場の特徴は、計158台ものセンサを工場内のさまざまな箇所に配置している点。これにより、装置や工程ごとに消費電力量のデータと、稼働状況や外乱などで微妙に変化する環境データ、具体的には粉じん量や温度、湿度、空気の流量といった物理量を24時間休みなく計測します。そして、これらのデータを基に、品質や生産性を落とさずに緻密な省エネ制御を実行している工場です。

 審査委員会が注目したのは、オムロンが自社のセンサを工場内に多数配置していることです。「自社で造ったものを自社工場で使っているのがすばらしい。加えて、工場版のビッグデータの活用という意味でも高く評価したい」(審査委員の「関ものづくり研究所」代表の関伸一氏)。

 日経ものづくりでは、2014年1月号の誌面で、今回の強い工場アワードのファイナリストを含めた受賞者のインタビューとともに、審査委員会の議論の様子などもお伝えする予定です。こうご期待ください。