部門間の関係を動態的に変化させる

 このような部門間の調整問題を解くカギは、部門間の関係を静態的なものとしてではなく、状況に応じて動態的に変化するものと位置付け、状況適合的な枠組みで考えることです。具体的には、既存事業と新事業の資源共有度に応じて適切な関係性は異なります。共有度が高ければ、部門間の統合度を高めることが合理的です。さらに、新事業の進捗状況を見ながら、部門間の統合度や資源配分を変更する必要が生じてきます(図2)。

図2●二刀流組織のマネジメント

 新規事業の成長に応じて部門間の関係を動態的に変化させるために、事前に定めたルールに頼るのは現実的ではありません。優れた統括者が既存部門と新規部門の双方を管理して、統合度の調整と資源配分に当たる仕組みこそが有効です。それによって、既存事業からの影響を回避するために両部門を分離したり、逆に既存資源を有効活用するために両部門の統合度を高めたりするといった状況適合的な調整が可能になります。

 これこそが、二刀流組織の理想的なマネジメントといってよいでしょう。二刀流組織によって、すり合わせの副作用を最小限に抑えた上で、新たなコンセプト創造と市場開拓に専念できる環境が整備されるはずです。図2は、そのような二刀流組織のイメージを示したものです。