ところが同紙によると、フォックスコンは2013年8月を機に、中国で生産した製品の輸出の比率を下げる一方、中国国内販売の強化に方針を転換。これを反映して河南省の貿易が低迷し始めたと報じている。河南省政府は最近出した内部レポートで、フォックスコンの輸出入が減速したことを受け、河南省では貿易の成長が鈍化し始めていると指摘。年率15%の成長を掲げた2013年通年目標の達成が難しくなったとの観測を示したというのだ。

 第一財経日報は、山西省でも同じ現象が起きていると伝えている。それによると、山西省政府が内部レポートの中で、2013年1~8月期に山西省の対外貿易総額は前年比15.9%増を記録したが、うち12.52ポイントはフォックスコンの貢献によるものだと指摘。ただ、フォックスコンが貿易を減らして国内販売の強化にかじを切ったことにより、8月単月では、前年同月比32.1%減と大きく減らしたとしている。

 英紙『フィナンシャルタイムズ』(2013年10月7日付)によると、フォックスコンの郭台銘董事長は同紙に対し、中国全土で工場勤務を敬遠する若者が増えていることから、製造業では人集めが難しくなっているとコメント。その上で、現状、同社では事業の9割を電子製品の輸出が占めているが、中国での販売を増やすことで、事業に輸出が占める比率を55~60%にまで減らしていく考えを示している。

 第一財経日報は、こうしたフォックスコンの変化を受け、中国の地方政府が同社に過度に依存することのリスクに気付き始めたと指摘。うち河南省では、専門家を集めて、フォックスコンが河南省に与えた利益と弊害の分析を始めた他、医薬やバイオテクノロジーの先進企業の誘致に注力し始めたと報じている。いわば「フォックスコン・プラス・ワン」を求め始めたと言えるが、これに対してフォックスコンも、貴州省に新工場を建設する一方で、インドネシアにスマートフォン工場の設立を計画するなど、「チャイナ・プラス・ワン」を進める動きを見せている。