ところが最近になって、フォックスコンの誘致に成功した内陸各省を取り上げ、同社に対する依存の大きさが高いリスクになっていることを指摘する報道が、中国メディアの中で出始めている。

 例えば中国の経済紙『第一財経日報』(2013年10月25日付)は、「内陸部がこぞって『フォックスコン依存症』からの脱却を図ろうとしている」と題する記事を掲載した。それによると、フォックスコンがiPhone生産工場を置く河南省では、2013年1~9月期の貿易総額が387億3000万米ドルで、前年同期比14.4%増の伸びを示したが、この成長率のうち実に13ポイントを、フォックスコンが稼ぎ出したと指摘。フォックスコンが2010年、3200万米ドルを投じて工場を建設し、30万人の雇用を生み出したことにより、同社進出前は全国32の省・自治区・直轄市の中で最下位争いを演じていた貿易総額も、フォックスコンの進出効果で13位にまで順位が上昇したとしている。

 こうして巨額の外貨を稼ぎ出すフォックスコンを、河南省政府は誘致の成功後も、引き続き手厚く支援してきたようだ。中国の経済紙『毎日経済新聞』(2013年10月25日付)は、2010年8月に稼働した鄭州のiPhone生産ラインに配置する人員を確保するために、河南省政府が億元単位の予算を組んだことや、機密保持を極めて重視するApple社の意向に応えるために、フォックスコンの工場からiPhone完成品を出荷するトラックを武装して護衛するための費用として同省政府が10億元を支出したと報じている。