今回紹介する書籍
書名:王二的経済学故事
著者:郭凱
出版社:浙江人民出版社
出版時期:2012年7月

 今月ご紹介している1冊は、『王二的経済学故事(王二の経済学物語)』。王二という架空の人物にまつわる寓話を題材に現在の中国における政治や経済の問題を読み解いた評論集である。

 今回は本書から「世界という舞台で」という題のついた第8章の内容を紹介する。「王二の言い訳と中国の宣伝」「王二が役人になったら…」「中国の『かっこ悪さ』とブラジルの苦悩」「王二の倹約と李四の無駄遣い」「麻薬取り締まりと債務」などだ。

 中国は、2001年に世界貿易機関(WTO)へ加盟して以来、経済成長を続けてきた。現在では国内総生産(GDP)で世界2位の巨大な経済体となったわけだが、ご存じのように1人当たりのGDPはいまだ先進国と呼べる水準に到達していない。それ故、中国は自らを場合によっては大国として扱うことを求め、場合によっては発展途上国であると称してきた。しかし、その言い訳がもはや通じなくなったということを本書ははっきりと示している。中国の現状と心情を表している以下の寓話をご覧いただきたい。