こう考えた王二はこの話を受けることにした。するとすぐに必要な機械や車が届き、2カ月もしないうちに土地は見事に開墾され、水路も整備された。そして翌年には田植えが行われ、秋には十分な収穫が上がった。王二は約束を守り、金を出してくれた人に半分の収穫を渡した。このようにしても、王二の得た収穫は大きく、その後も彼の収入は年々増えていき、瞬く間に財をなした。しかし、あるとき、王二は「元々自分の土地で自分が農業しているのにどうして半分を他人に渡しているのだろうか」と思うようになった。

 本書ではこの王二の考え方を現在の中国における外資に対する見方と重ねて解説する。もちろん自分の土地ではあるが、最初に出資者が金を出さなければ現在の富は得られなかった。中国も自分たちが力をつけたからといって外資を排斥するのはよくないというのだ。

 中国では外国企業が儲けすぎている、という不満があり、それに対して、本書作者は外国企業も慈善事業をやっているのではない以上、収益を上げられる地となった中国で稼ごうとするのは当然のことだと述べている。このような冷静な分析が中国社会でも多数派となれば、中国の国際社会での見られ方もさらに一歩進むのではないだろうか。