同5c発注削減のニュースが出た前後には、中国メディアでも同5cの伸び悩みと値崩れを伝える記事が出始めていた。

 例えば、広東省の日刊紙『信息時報』(2013年10月16日付)は、同5cの不人気を受け、公式ショップのApple Storeにおいて4488元(1元=約16円)で販売されている同5cが、通販サイトJD.com(京東商城)では直近で3988元で販売されている上、Taoba.com(淘宝商城)ではさらに大幅に安い3100元の値を付ける出店者もいると報じている。

Apple Store上海淮海路店にあるiPhone 5cのディスプレイ
Apple Store上海淮海路店にあるiPhone 5cのディスプレイ

 また、浙江省の日刊紙『都市快報』(10月17日付)によると、同省杭州市にある小売店は同紙に対し、同5sは同5cの5倍売れていると証言している。また、主に香港から密輸したiPhoneを中国深圳で販売している業者は、同5cの価格が既に1000元下がったとコメント。「この商売を始めて3年になるが、1カ月もたたないうちにここまで値段が下がるなど前代未聞のこと」とこの業者は頭を抱えていると伝えている。

 一方でTHE WALL STREET JOURNAL.は、Apple社が同5cの発注を削減するのは、品薄になっている同5sについて十分な供給量を確保する狙いもあると指摘している。

 同5sの生産は、フォックスコンが全量を独占しているものと見られている。台湾の経済紙『工商時報』(2013年10月18日付)によると、一連の報道を受け、フォックスコンの郭台銘・董事長は同月16日に社員を集めて開いた会合で、「Appleからの注文は大丈夫だ。心配ない」と強調したという。市場や業界では、郭氏のこの発言が、同5cの発注を減らされたとする報道を否定すると同時に、5sの出荷が好調だということを示したものなのではないかと見られている。

 同5sは中国でも販売が好調なようで、Apple Storeの中国サイトでは、スペースグレイ、ゴールド、シルバーとも入荷まで2~3週間待ちとなっている。日本など他の国・地域と同様、中国でも新色のゴールドが人気で、発売とほぼ同時に品切れとなり、ネットなどで1万~1万5000元の高値で取引された。