Apple社は2013年9月24日、旗艦モデル「iPhone 5s」(以下、同5s)と同5cの販売台数が発売開始からの3日間で合わせて900万台と、iPhoneシリーズの立ち上がりとしては史上最高を記録したと公表した。ただ一方で、同5cの販売、とりわけ中国での販売不調を指摘する報道やデータは、同月20日の発売直後から漏れ伝わっていた。

 例えば、スマートフォンのアプリ解析サービスを提供する米Localytics社のアナリスト、Bernd Leger氏は、2013年9月24日付の同社の公式ブログの中で、発売から48時間までに中国市場で発売された新型iPhoneのうち、実に91%が同5sであり、同5cは9%に過ぎないとの分析結果を公表した。

 Apple社が1年に1つの新モデルを出すという慣習を破り、旗艦機種の同5sと同時に価格を抑えた同5cを出すことに踏み切ったのは、新興市場、とりわけ中国市場を意識したものだとの見方が、市場や業界では支配的。それだけに中国での販売不調が事実なのであれば、Apple社にとっては大きな誤算ということになる。

 ただ一方で、Apple社が 同5cのターゲットとしているのは中国市場だけでなく、同社の携帯音楽プレーヤー「iPod touch」を所有しているが、スマートフォンを持っていない欧米の若年層にも設定しているとの見方もある。このため、同5cの販売が盛り上がるのは、これら若年層が買い物をするクリスマスなど2013年の年末商戦であり、発売直後の時点で販売の好不調を判断するのは早計だとの見方も出ていた。

 しかし、THE WALL STREET JOURNAL.によると、今回Apple社が発注を削減したのは2013年第4四半期分とのこと。まさに年末商戦に向けた出荷分で、これが事実なら、Apple社の目論見は、中国、欧米のいずれにおいても外れたことになる。