グローバル製造業の活動は国境を越えて、組織が連携する時代になった。円高は一服したとはいえ、市場としての新興国が勃興する中、消費地の近くに製造拠点を持とうとする動きは止まらない。
経済産業省の第41回海外事業活動基本調査によれば、日本企業の現地法人の従業員数は2010年度には499万人に達し、その約80%に当たる397万人が製造業に従事しているという。Made in Japanの品質を再現するために、現地従業員に対していかに的確に作業指示を伝えていくかがますます重要になっている。適切な教育を施し、現地工場を迅速に立ち上げることが企業の競争力となろう。
組立作業指示における問題三つ
製造業における組立作業指示に関して、よく指摘される問題が次の3点だ。
[2]部品の整合性確認に手間がかかり、作業指示書作成の工数が大きい
[3]文化や言語の壁があり、海外生産拠点への情報伝達が円滑に進まない
これを解決してきたのが、軽量3D形式 XVLのモデルを利用した作業指示書のソリューションである(図1)。[1]については、CADで設計された3DモデルをXVLへ変換することで、3D形状を見ながら組立工程の検討を試作機の完成を待たずに着手できるようになる。3Dで視覚的に工程を確認できるため、レビューでの関係者の理解が早い。製品が高い品質で組み上がるか、効率的に作業できるかを意識した工順を、早い段階で定義できる。[2]については、XVLに組立工程を定義できれば、作業指示書のテンプレートを指定するだけで、あとは自動で画像をふんだんに用いた作業指示書を生成できる。[3]に対しては、3Dモデルで組立手順のアニメーションを再生すれば、文化や言葉の壁を越えて、的確な指示伝達が可能になる。