スマート社会を実現するエネルギー技術の情報をお届けする「エネルギー」サイトに投稿の全記事を対象に、直近4週間(2013年9月17日~10月10日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。今回は、メガソーラーを紹介した記事が最も読まれた記事になった。

 再生可能エネルギーによる電力を電力会社が長期間、決まった価格で買い取る制度(FIT制度)が日本を含めて各国で導入され、1000kW(1MW)を超える大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が続々と建設されている。この状況を背景に、Tech-On!では、メガソーラーの最新情報を集めた注目サイト「メガソーラー」を2013年10月1日に開設した。同日、Tech-On!をはじめとして複数の日経BP社のメディアが協力するWebサイト「メガソーラービジネス」も開設された。

アクセス記事ランキング(9/17~10/10)
エネルギー
1 川崎・浮島、臨海工業地帯で飛行機が飛び交う発電所
2 大分で国内最大級のメガソーラーが稼働
3 有機薄膜太陽電池は大化けするか
4 どこでもセンサー、社会変える「ソーシャルデバイス」
5 世界の太陽電池導入量、日本が最大市場に!?
6 山陽小野田市に新名所が誕生!?
7 【EU PVSEC】パナソニック、約1mm角の太陽電池セルを並べた集光システムを開発
8 米国で急成長のマイクロインバータ、2013年に世界で約500MWを設置予定
9 東レが高分子材料で「厚い」有機太陽電池、変換効率10.6%
10 村田製作所、家庭向けの電力変換装置を1/3に小型化
11 【EU PVSEC】ホンダ、CIGS型太陽電池のモジュール変換効率を15.2%に
12 <第1回>計画の認定から、「いかに建設するのか」へ
13 三菱重工、洋上風力発電設備で世界2位メーカーと合弁
14 東芝、風力発電事業に参入
15 京セラ、大阪府最大のメガソーラーへのパネル供給と施工を受注
16 【続報】北海道の111MWのメガソーラー、建設上のポイントを聞く
17 コンビニ改革、電力センサが増収ツールに
18 産総研が福島県に再エネの研究所を設立、メガソーラーの増加を技術的に支援
19 100MW超えるメガソーラーを北海道に建設、巨大プロジェクトの行方に注目
20 kWとkWhとは

 これらサイトのベースと言えるTech-On!のサイト「エネルギー」の閲読ランキングでは、1位と2位がメガソーラーを紹介した記事だった。1位は神奈川県川崎市の浮島にあるメガソーラーを紹介した記事である。その名称は「浮島太陽光発電所」。最大出力は7MW、発電開始は2011年8月と、この規模としては国内で最も早く稼働した発電所といえる。

 同発電所は、隣接する川崎市の広報・教育用施設「かわさきエコ暮らし未来館」とともに、川崎市と東京電力による共同事業として建設された。かわさきエコ暮らし未来館には、太陽光発電などを学ぶための展示や、隣に広がるメガソーラーを一望できる展望台がある。同発電所の建設は東芝が行った。太陽光パネルはシャープ製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製である。太陽光パネルは最大出力198Wの単結晶シリコン型が3万7926枚、PCSは定格出力250kW機が28台設置されている。

 今回のランキングの2位は大分県大分市にあるメガソーラーを紹介した記事である。浮島太陽光発電所とは異なり、こちらのメガソーラーは2013年5月に稼働(売電)を始めたばかり。最大出力は26.5MWで、2013年10月時点では、国内で稼働する最大級のメガソーラーになる。発電所の名称は、「日産グリーンエナジーファームイン大分」。日産自動車が所有する約35haの工業用地に、約11万枚もの太陽光パネルを敷き詰めた。

 日産から土地を借り、発電事業を営むのは、日揮が100%出資して設立した特定目的会社(SPC)、日揮みらいソーラー(横浜市西区)である。太陽光パネルはシャープ製とソーラーフロンティア製、PCSはTMEIC製を採用した。太陽光パネルは日創プロニティ製の架台に載せ、新日鉄住金エンジニアリングのスクリュー杭で固定した。架台材料は、新日鉄住金製の高耐食性鋼材である。

 ランキングの3位になったのは、有機薄膜太陽電池の将来を占った記事である。有機薄膜太陽電池は「有機半導体材料を用いた太陽電池 で、記事によれば、この数年で最も変換効率が向上した太陽電池の一つだという。現時点では、ドイツHeliatek社と三菱化学が変換効率でそれぞれ約12%を実現し、開発競争でトップ・グループを形成している。

 ランキングの5位は、太陽電池の市場予測を紹介した記事である。同記事によれば、民間調査会社の富士経済は、世界の太陽光発電システム市場は導入ベースで2013年に37500MW(37.5GW)となり、2012年比で19.6%増となる見込み。2020年には75000MW(75GW)と、2012年比2.4倍に拡大する。また、2012年時点では、欧州、北米、日本、オーストラリアの先進需要地の構成比が7割を超えていたが、今後はそれ以外の国々の構成比が高まる。中国はこれまで太陽電池の生産地としての存在感が目立っていたが、需要地としても拡大し、インドの需要も顕在化すると見ている。

 ランキングの7位には、約1mm角の太陽電池セルを並べた集光システムを紹介した記事が入った。パナソニックが開発し、国際学会「EU PVSEC」(2013年9月30日~10月4日、パリ)で発表した。屋外での測定では、モジュール変換効率34.7%を得たという。太陽電池セルは米Solar Junction社から調達している。GaAsを基板に用いた3接合の化合物多接合型である。