「最近、ご興味を持っている分野は何ですか?」
 知り合いの技術者の方と雑談している際、私が必ずする質問です。毎回さまざまな答えが返ってきますが、特に最近になって頻繁に耳にする回答があります。

 それが、ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)やスマートウオッチ、アクション・カメラといった“ウエアラブル機器”です。ポスト・スマートフォンを狙い、ウエアラブル機器の研究開発がここにきて活発化しています。

 HMDに関しては、過去何度かブームを巻き起こしましたが、最近では、日常生活での利用を想定した「Google Glass」が起爆剤となり、HMDへの関心が高まっています(Tech- On!関連記事1)。ゲーム分野では、視野角を110度に広げたり、ヘッド・トラッキング機能を搭載したりして、ゲーム用途に向けて没入感を高めた「Oculus Rift」が話題をさらっています(日経エレクトロニクス関連記事1)。

 スマートウオッチも、韓国Samsung Electronics社やソニーの製品が注目を集めています(Tech- On!関連記事2)。米Apple社がスマートウオッチに参入するという噂も出ており、2016年に1億台に達するとの予測もあります。

 機器だけではありません。半導体メーカーや部品メーカーも、ウエアラブル機器への搭載を強く意識した製品開発に注力し始めました。例えば、米Intel社がウエアラブル機器を想定した低電力SoCを2013年9月に発表しました(Tech- On!関連記事3)。同年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2013」では、ウエアラブル機器への搭載を目指した、「Bluetooth v4.0 low energy(Bluetooth SMART)対応」の通信モジュールが相次いで出展されました(Tech- On!関連記事4)。

 そこで、日経エレクトロニクスでは、HMDやスマートウオッチなどの最新動向、ウエアラブル機器に利用される半導体技術などを解説するセミナーを2013年11月6日に開催します(詳細はこちら)。

 基調講演には、神戸大学大学院 工学研究科 電気電子工学専攻 教授の塚本昌彦氏をお招きし、ウエアラブル機器の最新動向と将来についてお話いただく予定です。塚本氏は、ウエアラブル機器関連の研究だけでなく、ユーザーとして、ほぼ常に同機器を身に着けていることでも著名です。HMDはもちろん、最近では両腕にスマートウオッチや、リストバンド型のヘルスケア機器を複数身に着けているそうです。こうしたユーザー視点でのお話もしていただく予定です。

 HMDの活用事例については、新日鉄住金ソリューションズの笹尾和宏氏にご登壇いただきます。同社は、組み立て作業や設備の設置作業を行っている際、組み立て手順や設置手順をHMDに表示して作業支援するシステムなどの開発に力を入れています(日経エレクトロニクス関連記事2)。その最新成果を発表していただく予定です。

 HMDの民生用途での利用に関しては、HMDを利用したARアプリなどを開発している技術者であるミクミンP氏(ハンドルネーム)に、自身のアプリ開発の経験を基にして、HMDの活用法について語っていただきます。なお、ミクミンP氏はニコニコ技術部員でもあり、HMDを利用した作品を、ニコニコ動画に多数公開しています。

 そしてセミナーでは、半導体技術者の清水洋治氏が、市販されているさまざまなウエアラブル機器30機種ほどを分解し、半導体チップなどを分析した結果を紹介する予定です。既にその一部は、日経BP半導体リサーチの記事に掲載しています(日経BP半導体リサーチ関連記事)。

 ウエアラブル機器で提供できるようになるユーザー体験についても言及したいと考えています。そこで、このテーマについて、電子機器のUI設計などを手掛けるソフトディバイス 代表取締役の八田晃氏にお話していただく予定です。

 以上が現時点で決まっている11月6日開催のセミナーのプログラムです。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。