異なる物性の材料で除去を楽に

 サポートの材料は、立体モデルの造形材料と同じ場合と、別の材料を使う場合がある。液体の光硬化性樹脂の液面に対して、断面形状の部分にレーザなどを照射して硬化させていく方法(光造形法)では造形材料とサポート材料は同じになる。この場合、基本的に手作業でサポートを取り除く。立体モデルとサポートの接続部を細くするなどして切り離しやすくするといった工夫が採られる。

 熱硬化性樹脂を可動ヘッドから吐出する熱溶解積層法では、1種類の材料しか使えない場合には必然的に造形材料とサポート材料は同じになり、光造形法と同じく手作業による除去が必要になる。同方法の低価格3Dプリンタでは多くの機種で、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂を使う。さまざまな色のABS樹脂を用意している3Dプリンタもあるが、たとえ異なる色であっても同じABS樹脂を使う限り、サポートの除去は手作業になる。

 ただし、ABS樹脂とPLA(ポリ乳酸)樹脂の2種類を使える機種では、造形材料としてABS樹脂を、サポート材料としてPLA樹脂を使えば、造形後に水酸化ナトリウム水溶液に浸すことでサポート部だけを除去できる。Stratasys社の「Dimension」シリーズや「Fortus」シリーズのように、アルカリ水溶液で溶ける材料をサポート専用の材料として提供する熱溶解積層法の3Dプリンタもある。このように、熱溶解積層法を採用する3Dプリンタでは造形材料とサポート材料を異なる物性とすることで、サポートを除去しやすくすることが可能だ。

 インクジェット・ノズルから材料を吐出する方法の3Dプリンタでも同様に、造形材料とサポート材料を異なる物性としている。サポート材料として提供する材料にはさまざまな特徴があり、具体的には、[1 ]水で溶かせる材料、[2 ]加熱して溶かせる材料[3]ウオータージェットで吹き飛ばせるゲル状の材料、などがある。

 粉末材料を1層ずつ硬化させていく方法では、未硬化の粉末が造形エリアを埋め尽くすため、それがサポートの役割を果たす。特にサポート形状のデータを用意する必要はない。造形完了後に立体モデルを取り出すと、周囲にある粉末の多くは脱落する。しかし、入り組んだ内部に残った粉末や表面に付着した粉末を取り除く作業は必要となる。基本的に、空気を吹き付けて除去し、細かな部分はブラシなどを使って手作業で取り除くことになる。

 シート状の材料で断面形状の輪郭線を切断して積層していく方式も、立体モデル以外の部分がサポートの役目を果たす。粉末積層型と違って、サポート部を気体や液体で吹き飛ばすことはできないので、手作業でのサポート除去となる。除去しやすいようにサポート部分にも切り込みを入れたり、まとまって除去できるようにあえてサポート部の層間も接着したりといった工夫をしている。