造形可能な形状も変わってくる

 このようにサポートの除去方法はさまざまだ。サポートを手作業で取り除く場合には、サポートの切り離し部に対して工具などが届くようにする必要がある。逆に言えば、入り組んだ内部などがある形状の造形は難しいということになる。また、切断部が外観品質に影響するようなときには、磨きなどの仕上げ処理が必要だ。射出成形においてパーティングラインやランナの位置を気にするように、3Dプリンタでもサポートの位置が適切になるよう、積層方向などを調整する必要がある。

 この点で、サポートを溶かしたり、吹き飛ばしたりして除去するタイプでは形状の自由度が高まる。例えば、軸受の内輪と外輪、転動体を同時に造形したり、球体の中に球体が入れ子状に入った形状などを造形したりできる。ただし、サポート材料を排出するための隙間は不可欠だ。砂型鋳造において、鋳造後に砂を取り除くことが必要なことを考えればイメージしやすいかもしれない。吹き付ける強さによっては、樹脂製の立体モデルの場合は微細部が壊れることもあるので注意が必要である。

 特徴的な形状の造形が可能なのが、熱溶解積層法の3Dプリンタである。前述のようにある程度の角度まではサポートなしにせり出していけるので、内部が空洞になっており、それを覆う壁に隙間が全くないような形状でも造形できる。