[5]改善案がコンセプトレベルで具体的ではない

 改善案の検討が「開発の初期段階に関連部署が集まって課題抽出を行えばよい」といったレベルでしかない場合などがこれに当たる。具体的な検討タイミング、検討メンバー、工数、工数低減のための検討対象の絞り込み方法、あるいは定着のための組織・役割変更、全社に展開するためのトレーニングなどが練られていない。改善案が具体的になっていない場合、改善案の組織展開や定着は難しい。

[6]改善案が事務作業中心

 [4]の「見える化に無意味に工数を掛けている」と同様に、システム導入を前提とした業務改革の場合に起こりがちな例である。従って、 これもまた3Dプロセス改革において注意が必要である。例えば、業務改革と言いながらシステムを起点に改善案を抽出してしまった結果、システムに関連性の強い事務作業中心の改善案になってしまう状況だ。

 具体的には、製品・部品コード管理効率化や技術情報管理効率化、E-BOM(設計BOM)管理業務効率化、設計変更管理効率化といった改善案しか抽出できていない場合などがこれに当たる。開発性・生産性の向上のため、QCD向上のためといった発想で改善案を抽出しなければ、経営資源の投資に見合った改革効果を得ることは難しい。