3次元データプロセス改革の実現には、業務とシステムの改革が必要だが、業務改革の水準は企業により非常に大きなばらつきがある。業務改革の定義にもよるが、中には到底業務改革とは呼べないような活動に留まっている企業も見られる。そこで今回は、業務改革の推進上、注意が必要な状況について10項目をピックアップした。

 筆者の所属するデロイト トーマツ コンサルティングのPLMチームでは、このうち1つでも当てはまる事項があれば、業務改革とは呼べないと考えている。業務改革推進上の基本チェックリストとして、お使いいただきたい。

[1]経営や事業の目標と開発機能全体の目標の結び付きが不明確

 例を挙げると、中期経営計画/事業計画の売上・利益目標を達成するためには開発生産性の向上がどの程度必要か、といった目標が明確になっていない状況である。これは目標設定の基本であるが、開発生産性は高ければ高いほどよい、開発期間は短ければ短いほどよいという考え方で、目標の設定に必然性がない場合、往々にして改善は進まない。

[2]開発機能全体の目標はあるが、目標達成のための方針がない

 例えば、開発機能全体の目標である開発生産性向上を達成するために、製品企画の高度化による売上拡大を目指すのか、モジュール化の推進による開発規模の低減を図るのか、あるいは開発プロセスの効率化によるのかといった方針が決まっていない状況である。目標達成のための方針が不明確なままでは、組織や個人ごとの活動にばらつきが生じ、効果的な活動を行うことはできない。