9月下旬~10月上旬の中国は例年、秋のゴールデンウイークのシーズン。EMS(電子機器受託製造サービス)/ODM(Original Design Manufacturer)業界では、10月1日から始まる国慶節の7連休に操業を止めるかどうかで、各企業が抱えている製品の売れ行きの状況をある程度、占うことができる。

 米Apple社は2013年9月20日から米国、日本、中国など世界11カ国・地域でスマートフォン「iPhone 5s」(以下5s)と同「iPhone 5c」(以下5c)の発売を開始したが、うち新色である5sのゴールドモデルは世界的に売れ行きが良く完売の状態が続いている。

 これを受け、5sの生産全量を受注したとされるEMS世界最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕では、同社のiPhone生産主力工場である河南省鄭州工場で、連休中も休まず操業を続けている他、ワーカーの採用も連日受け付けているようだ。求人サイトに掲載されている採用条件を見ると、採用から3カ月の基本給は月額1800元(1元=約16円)だが、国慶節連休中に勤務すると、時給は31元で、平日に残業した場合の時給15.5元の2倍に設定されている。

 台湾紙『経済日報』(2013年9月28日付)は、台湾の市場関係者の話として、Apple社が2013年の年末にかけて、既に発売した5sと5cの他、タブレット端末で9.7型の「iPad」、7.9型の「iPad mini」の次世代モデルを市場に投入すると報道。その上で、Apple社に対する依存度が高い業者ほど、国慶節の休みを返上するところが多いとの見方を示している。7連休中は24時間の3交代制シフトを取るところや、人手を確保するために連休中に皆勤したワーカーに1000元の手当てを出すなどの対策を取るところもあるとしている。