――サプライヤーを重要度で分類し、分類のための評価システムを作るというところまで伺いました。
坂口氏:3つめの重要なポイントは、調達・購買部門が現場で見付けたコスト削減のネタを、次の開発に生かすために情報発信することです。「マザー調達本部」というコンセプトを紹介しましたが、量産時に発掘されたコスト削減策をマイナーチェンジなりフルモデルチェンジなりに反映できれば、非常に大きな成果を見込めます。日本の調達・購買部門がマザー調達本部として、他の製品への応用を検討したり、全世界の拠点に展開したりすることを主導するような取り組みが求められます。
この考え方は、一見すると何が新しいか分からないかもしれません。「もう、やっているよ」と思われる方も少なくないでしょう。
ところが、名だたる大企業であっても、自社の他工場がどのようなコスト削減策を実施しているかということを意外と知らないのです。
――横のつながりといいますか、工場間で情報があまり共有されていないというのはよく聞きます。
坂口氏:工場間で情報のやり取りがないのもそうですが、もっとひどいところになると、他の工場がどのサプライヤーから調達しているかということも知られていないことがあります。国内でもそうなので、海外となればなおさらです。ここで申し上げたいのは、日本の調達・購買部門がマザー調達本部として全世界の工場に横串を刺す機能を果たしていかなければならないということなのです。