もう2週間近く前のことになりますが、米Apple社の最新スマートフォン「iPhone 5s」「iPhone 5c」が発売されました。日経エレクトロニクス編集部では発売日当日に入手し、ただ今、分解・分析記事に向けて着々と取材を進めています。

 いつもながら、最新機器は簡単には手に入りません。廉価版のiPhone 5cは事前予約していたので入手できるのは分かっていたのですが、店頭販売でないと発売日(2013年9月20日)に手に入らないiPhone 5sには困りました。結局、いつものように手分けして、複数の店頭に早朝から並んで入手せざるを得ません。テレビ等では、何日も前から泊まり込みで発売を待つ人の列を報道していました。弊誌でも同じことをしなければならないかと覚悟しました(事実、かつては夜を徹して入手したことがあります)。

 ただ、新型iPhoneには以前ほどの一般消費者の盛り上がりがありません。しかも、iPhone 5s/5cでは、新たにNTTドコモが加わり、ソフトバンクモバイルとKDDIを含め入手できる店舗はグンと増えます。多くの店舗で新型iPhoneを入手可能のはずと思い、何人かの編集部員が自宅付近の端末販売店に問い合わせてみました。すると案の定、いたるところで入手できそうです。しかも朝8時には販売を始まるところも多く、出勤前に手に入ります。実際、早いうちに入手が完了。内部構造の調査もすぐに始めました。

iPhone 5sを分解したところ
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 発売日当日に端末を入手、しかも分解しているのに、「いつものモノがない」と思われる読者の方々は多いでしょう。はい、その通りです。今回は恒例の分解記事を、Webで公開していません。これまでは「分解を疑似体験する」を掲げ、機器を分解する過程で、直近の状況や分かったことなどをTech-On!上で速報記事として公開してきました。注目度が高い機器となると、10本以上の記事に及ぶことがありました。しかし、今回は違います。

 最近は、他のWebサイトでも分解写真等は入手可能です。日経エレクトロニクスでは今回、あえて速報体制を採りません。速報記事を執筆する時間を、部品の詳細分析や識者への取材に充てることにしました。10月1日から始まった「CEATEC JAPAN 2013」においても、iPhone 5s/5cの分析につながる情報を探索しています。

 「分解」から「分析」へ――。日経エレクトロニクスの分解記事について、「開けただけ」と厳しいご指摘を受けることがあります。こうした指摘を真摯に受け止め、“深みのある”の情報提供を強化していきます。2012年11月12号に掲載した記事(iPhone 5に使われる液晶パネルやLSIの分析からApple社の部品戦略を読み解きました)や、最新号(2013年9月30日号)に掲載した中国Huawei Technologies社のスマートフォン「Ascend D quad」に関する記事(Ascend D quadが搭載する主要LSIから同社の半導体子会社HiSilicon Technologies社の実力を図りました)などを増やしていく所存です(最新号の目次)。

 iPhone 5s/5cについては今後、日経エレクトロニクス誌で分析記事を掲載する予定です。楽しみにしておいてください。10月28日にはセミナー「iPhone 5s/5cを徹底分解、Appleの部品選択傾向を分析」を東京で開催します(詳細はこちら)。ここでは、Apple社の過去から現在までの部品選択の流れ、競合機種との比較から最新iPhoneの実像をあぶり出してみます。講師は、弊誌の分解記事で協力いただき、iPhone 5s/5cの分解レポートも作成しています、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクターの柏尾南壮氏です。さらに、11月12日には大阪において、セミナー「【大阪開催】分解から探る、スマートフォンの部品選択傾向」を催します(詳細はこちら)。ここでは、AndroidやWindowsの対応端末、そしてiPhone 5s/5cから見た、主要端末メーカーの部品選択傾向などを紹介します。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。