図1:マイクロインバータ(写真:SolarBrigde Technologies社)
図1:マイクロインバータ(写真:SolarBrigde Technologies社)
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図2:カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムにおけるパワー・コンディショナの設置量(MW)
図2:カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムにおけるパワー・コンディショナの設置量(MW)
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図3:カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムにおけるパワー・コンディショナの設置数(千台)
図3:カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムにおけるパワー・コンディショナの設置数(千台)
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図4:カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムにおけるパワー・コンディショナのメーカー別シェア(%)
図4:カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムにおけるパワー・コンディショナのメーカー別シェア(%)
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 米国では太陽電池モジュールの裏側に、ジャンクション・ボックスの数倍の大きさに納めたマイクロインバータと呼ぶ機器を設置する需要が急速に増えている(図1)。

 マイクロインバータは、既存の集中型パワー・コンディショナに代わり、出力の最適化からDC-AC変換までを各モジュールで実行するための機器である。モジュールからの出力は交流となり、集中型パワー・コンディショナを介さずに、そのまま電力系統へ接続できる。

 このマイクロインバータを各モジュールに設置すれば、モジュールに問題が発生した場合でも、システム全体への影響を最小限に抑えられる。従来の集中型のパワー・コンディショナでは、複数のモジュールを直列に接続した後に最適化していた。このため、日陰や特性ばらつきなどで一部のモジュールの出力が低下すると、システム全体の出力が大きく低下する場合があった。

 マイクロインバータの利点は、モジュール単位での出力最適化だけではない。モジュール単位での追加や削減が容易なため、設置時間とコストを省くことができる。モジュールごとに出力特性を管理できるため、メンテナンスも容易だ。さらに、非常に大きな集中型のパワー・コンディショナが不要になるため、設置スペースを削減できるといった利点もある。

 米IHS社のIMS Researchが2013年8月に発表したレポート「The World Market for PV Microinverters and Power Optimizers-2013 Edition」によると、2017年のマイクロインバータの世界市場は、2013年の約500MWの4倍となる2.1GWまで成長する見込みである。このうち米国市場は、2012年時点で72%を占め、最も大きな市場になるとする。

 米国最大の太陽光発電システム導入補助プログラム「California Solar Initiative (CSI)」のデータによると、カリフォルニア州の住宅向けシステムのうち25%がマイクロインバータを利用している。具体的には、2008年に0.2MW(全体の0.4%)だったものが、2013年1~8月で36MW(全体の25%)になった(図2)。2013年1~8月では、パワー・コンディショナ全体の1/3の規模まで成長している。

 カリフォルニア州では、2008年に1000個に至らなかったマイクロインバータの設置数が、2013年1~8月だけで約15万個になった(図3)。マイクロインバータはモジュールごとに設置するため、従来の集中型のパワー・コンディショナに比べて数が多くなる。
 マイクロインバータの最大定格出力は、200~300Wである。住宅用の4kWのシステムでは約20台のマイクロインバータが、10kWのシステムになると約50台のマイクロインバータが必要になる。

 気になるコストだが、マイクロインバータはプレミア価格で販売されているようだ。マイクロインバータ・メーカーの米Enphase Energy社は、2013年9月の投資家向けカンファレンスで、既存の集中型パワー・コンデョショナと比べて、「0.2~0.3米ドル/Wほど割高になる」(同社 CFOのKris Sennesael氏)と明かした。出力の最大化や設置コストの削減、メンテナンス費用の削減によって、初期コストの高さを回収できるとする。