米Apple社の新型スマートフォン「iPhone 5s」と「同 5c」が2013年9月20日、発売になった(図)。2011年モデルの「同 4S」は10月14日、2012年モデルの「同 5」は9月23日と、Apple社は最近の3世代の発売時期を、いずれも9月後半から10月に集中させている。

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図●上海南京東路のApple StoreでiPhone 5cを試す人々

 ところが、iPhoneを受託生産するEMS(電子機器受託製造サービス)の台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕、台湾Pegatron社(和碩)がiPhoneの製造工場を置く中国は例年この時期、中秋節と国慶節(建国記念日)の大型連休が到来する。工場勤務を嫌がる若者が増えたため、EMS大手は近年、人手不足が常態化しているが、大型連休前後はさらに人集めが難しい。

 iPhone 5を生産するフォックスコンの河南省鄭州工場では国慶節連休中の2012年10月5日、検品部門やラインの従業員300人余りによるストライキが発生した。Apple社による品質管理に対する厳しい要求でストレスをためていた従業員らが、休日返上でiPhone 5の生産に取り組んでいた最中に、ささいなことから不満が爆発しストライキに発展したということらしい。このストについては、当コラムの「Appleサプライチェーンで台頭する中国系」や、筆者が編集長を務めるEMSOneのウェブサイト閲覧には会員登録が必要2週間無料で読める試用会員も用意)でも「iPhone 5工場ストライキの全貌 中国紙の報道から」などの記事で詳述しているので、興味のある方はお読みいただきたい。

 ともあれ、2013年もフォックスコン、Pegatron社の両社は国慶節前後の労働力の確保に苦労しているようだ。台湾紙『経済日報』(2013年9月18日付)は、とりわけPegatron社では、iPhone生産に必要と計画していた人員の8割しか集まっていないと報道。5s、5cとも立ち上がりの供給不足が懸念されるとしている。