特に、今必要になっているビジネス経験を持つ企業人の数は、圧倒的に足りないのが現状です。被災地は、これから産業や福祉・医療・教育、観光・広報などの取り組みで活性化した潤った町づくりを進めていかなければなりません。しかし、これらは地方の自治体が得意とする分野ではありません。もちろん、Tech-On!読者である技術者が持つスキルも重要な一つです。

 その一つの実現方法として、復興庁が推進する被災自治体などへの人材派遣の仕組みがあります。民間企業(人)の経験やスキル・ノウハウを活用するための人材派遣事業の推進を行っており、宮城県の石巻市や東松島市、福島県浪江町などの先行事例も生まれ始めました。被災地が必要とする人材を企業などから現地に派遣することを目的にした『WORK FOR 東北』というプロジェクトも発足しています。

 例えば、宮城県沿岸だけでも被災に見舞われた自治体は15市町。自治体が担う事業分野ごとに2人ずつ企業人を送り込んだ場合、ざっと180人が必要になる計算です。2013年4月に総務相から経団連に、企業から東日本大震災の復興を担う人材を500人派遣するよう直接要請していますが、この数字はあながち間違っていないと思います。

 ちなみに、復興に関係なく、企業から国や地方の行政機関に派遣されている人材はどの程度か、ご存じですか。実は、震災前の2010年に1136人です。この数字が多いか少ないかは議論があるところだと思います。私は、想定していたよりも多い印象を受けました。少しばかり減らしても成り立つのではないかなどと、勘繰ってしまいます。その一部を復興関連に振り向けるだけで、だいぶ人材不足は緩和されるのではないかと…。

 それはさておき、今こそ、企業人の出番です。これまで4回にわたって、みちのくで活躍する企業人を紹介してきましたが、これからますます企業の、企業人の活躍の場が拡がっていきます。みちのくは「道の奥」が語源だと言われますが、復興に向けて動き出した被災地は、これまで見えていた未来のその先、「未知の奥」でもあります。みちのくへの道は未来のその先への道。日本の未来を一緒に見つけてみませんか。