忙しいのに、どうやって選んでいるんですか

岩佐 一つ、聞きたいことがあるんですけど。

山本 何ですか?(どきっ)

岩佐 山本さんは、NECから復興庁に出向しましたよね。それから、かなりさまざまな人々に会ったと思うんです。それも、震災後の混沌とした状態で。復興庁職員という立場や職責もあるでしょう? 仕事も忙しく、時間だって限られているはず。そんな中で、どうやって選んでいるんですか。

かなりあ社中の山本氏
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山本 え、選ぶ??

岩佐 だって、被災地には全国からさまざまな人々が大量に集まってきています。地元の人々も多種多様でしょう。復興庁という立場もありながら、限られた時間の中で、どのようにその中から会う人を選んでいるのか、すごく興味があるんです。

山本 なるほど…。僕は「何かを一緒にやれるか」という点を重視していますね。口だけの人も、たくさんいるでしょ。話の論理展開だけだったら、僕よりもすごい人は大勢います。でも、実際に手を動かしている人は、そう多くない。

 確かに立場上、かなりの人が訪ねてきて、断ることはできませんので、たくさんの方々と日夜、お会いしています。でも、少し話していると「一緒にやれる人」かどうかが何となく分かるんです。

岩佐 それはどこで分かるんですか。

山本 何となく、ですね。特に自己完結型のタイプは苦手です。「一緒にやれない」ので、限界が見えちゃうのかな。どんなに素晴らしくても、自己の限界が、その取り組みの限界になっちゃうから。だから、自分の限界を認識しつつ、何かに依存するわけではなく、連携を模索する方がいいですね。その方が大きなことができそうな気がします。

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岩佐 つまり、山本さんは、物事のスケーラビリティに価値基準を置いているんですね。

山本 そうなんです。それが常に問題であり、大前提だと思っています。

岩佐 なるほど。今、たくさんの方が会社を辞めて、被災地で起業しています。でも、それってすごくもったいないと思っているんです。ベンチャー企業を経営している立場からすると、大企業が持っているアセットは、なかなか手に入らない。それを活用しながら自分の力を発揮することにチャレンジしないのは、もったいないなと。

山本 GRAの取り組みにも、たくさんの企業が関わっていますよね。