本連載最終章の第2回に当たる今回は、前回を受けて改革成功企業の多くで見られる「7つの共通法則」の「第4の法則」の紹介から始めよう。ものづくり改革成功企業は、基本的に意思決定が速い。法則4では、意思決定を迅速に行うための要素を考察してみたい。

法則4:意思決定を迅速にする実行体制

 読者の皆様も経験がおありだと思うが、意思決定に時間がかかるプロジェクトは多い。「内部調整に時間がかかる」、「部門間の整合がとれない」、「意思決定者への説明時間がなかなかとれない」、「意思決定を促すための資料を作成するのに時間がかかる」といったことがその原因とされている。また、部門内に閉じたテーマよりも、複数部門に横断的に関わるテーマ(部門横断テーマ)やグローバル全体最適に関わる問題の場合は、意思決定にさらに時間がかかる。全社最適テーマを遂行するには、意思決定を迅速に行うための仕組みを事前に検討し、準備しておくことが必須要件だ。

 部門横断テーマの例としては、設計後の出図の際、従来の2D図面に加えて3Dモデルも作成する方式に変更するケースが考えられる。この場合、調達部門や製造部門は3Dモデルと2D図面の両方を用いて、サプライヤーへの手配や製造指示、加工や組み立ての作業を行わなければならない。これらの影響に対して「どのように対処していくべきなのか」「受け入れ体制はどのようにすべきか」などを短時間で検討・判断していく必要があるのだ。