家庭向けのビジネスを諦めるべからず。

 2013年8月6日~9月9日の1カ月、Tech-On!のテーマサイト「家電・PC」のアクセス・ランキングで頭一つ抜け出て1位に輝いたのは、「ニッポン製造業に物申す(上)、B2Cを諦めてはいけない」。大手エレクトロニクス・メーカーの技術畑出身で、新事業創出や新製品開発などのコンサルティングを手掛ける生島大嗣氏による新コラム「ニッポンの製造業、脱・負け組への提言」の第1回です。

 アクセスランキング7位に入った第2回の「ニッポン製造業に物申す(下)、社内に縁側をつくろう」と合わせて好評を博しました。日本メーカー、特にエレクトロニクス・メーカーが家庭(個人)向けの事業、つまり「B2C(企業対消費者取引)ビジネス」から「B2B(企業対企業取引)ビジネス」に重心を移す中、本当にそれでいいのかと生島氏は指摘しています。

 B2Bビジネスに軸足を移すこと自体はいいとして、それが積極的なものに見えない。B2Cビジネスの苦戦が続く中、家庭向けの新しいビジネスモデルをつくり上げるリスクを避けて、安全な方向性で現状を脱却しようとしている。それは、消費者に直接触れる機会を失うだけではないのか。これが、生島氏の主張でしょう。

 長くエレクトロニクス業界を牽引してきたのは、民生機器、つまり家電です。強い最終製品が電子部品のような、すそ野産業を形づくってきた。その存在を失えば、エレクトロニクス産業全体への負の波及効果が大きいというわけです。長く言われてきたことではあるものの、今こそ本気で「よいものは売れる」から脱する必要があるのではないかと、生島氏は説いています。

 二つの記事での提言には、Tech-On!の読者も敏感に反応しました。ビジネスの変化を現場の担い手として最も身近に感じているためでしょうか。長く熱いコメントが多く寄せられました。