続いて図2は、この改革コンセプトが事例に取り上げた企業であるA社にとって革新的だった理由を示したものだ。今では携帯電話やスマートフォンなどを駆使したワークスタイル変革は一般的になったが、この改革コンセプトが考案されたのは、携帯電話がようやく普及しはじめた時代だった。それだけに、ITを用いて従来見えなかった業務内容をほぼリアルタイムで「見える化」することは、当時としては、画期的なワークスタイルとビジネスモデルの提案だったのである。
この事例の改革コンセプトを、上記の要件に沿って考察すると、
[1]改革を実践する企業だけでなく、工事遂行や物流を担当するパートナー会社を含めた改革である。
[2]現場から離れた本社から、ITを活用して工事現場をほぼリアルタイムに見える化し業務の効率性を高める、という新しい業務方式の提案である。
――ということが言えるだろう。
明快な改革コンセプトを策定することは、ものづくり改革成功企業の1番目の共通法則なのだ。