設計力向上 開発手法と支援ツールの動向・事例
 

モジュラーデザインの感覚は、日常的な設計業務の中で養える

3Dデータ活用による開発プロセス改革について鳥谷浩志氏と新井本昌宏氏に聞く(第3回)

木崎 健太郎,高野 敦=日経ものづくり
2013/09/11 00:00
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 3Dデータ活用によるプロセス改革の対象は、近年普及が進むモジュラーデザイン(MD)にも及ぶ。しかし、その導入は一筋縄ではいかない。ラティス・テクノロジー(本社東京)代表取締役社長の鳥谷浩志氏とデロイト トーマツ コンサルティング(本社東京)マネジャーの新井本昌宏氏は、MD導入のハードルを下げるための手段としてボトムアップ型アプローチを提言する。(聞き手は、木崎健太郎、高野 敦=日経ものづくり)

――お二方が提唱している開発プロセス改革の1つに「製品・技術資産の改革」があり、そこでは昨今多くの企業で導入が進んでいるモジュラーデザイン(MD)に言及されているのが印象的でした。今、3Dデータ活用によるプロセス改革を進めるとしたら、やはりMDは外せない取り組みなのでしょうか。

新井本昌宏(にいもと・まさひろ)氏
デロイト トーマツ コンサルティング マネジャー。東京理科大学大学院工学研究科工業化学専攻修了後、メーカーにて生産技術、研究開発に従事。その後、日系コンサルティング会社を経て、2010年5月から現職。現在までに、研究、開発、設計、生産技術、品質保証、デザイン領域の業務改革コンサルティングを数多く経験。特に、開発期間短縮、品質向上に向けた開発設計プロセス改革・組織能力向上の実績を数多く有する。著書に『実務入門「仮説」の作り方・活かし方』(日本能率協会マネジメントセンター、共著)など。

新井本氏:そうですね、確かに最近は増えています。さらに、誤解を恐れずにいいますと、MDを導入したものの挫折している企業が多いという状況があります。

――そんなに多いのですか。

新井本氏:MDをきちんと実施する場合、初めに中長期の製品ロードマップを作成し、その中から共通部分を見いだして、というように進めていきます。しかし、実際は多くの企業がロードマップを描く段階で挫折してしまいます。MD以前にも標準化ということが10年ぐらい前からいわれていましたが、効果が出るまでに時間がかかることもあり、苦戦している企業が少なくありません。

 だからといって、MDが間違っているわけではないのです。MDの理論自体は正しいと、私は思っています。従って、MD導入のハードルを下げるためのアプローチが必要だろうということで、当社(デロイト トーマツ コンサルティング)では「SSM(Smart Structure Management)」という手法を提案しています

 SSMは、製品仕様と製品構造の関係を簡素化しつつ、製品構造が評価体系に及ぼす影響を網羅的に考慮した手法。SSMによって設計者は製品構造に基づいた部品構成をベースに思考できるようになり、QCDの改善に加えて、部品共通化や技術力なども見込めるという。SSMの詳細は、両氏による連載の「第16回:Smart Structure Management(SSM)(1)」や、両氏が執筆に参画した書籍『3D活用でプロセス改革』を参照。

 SSMの特徴は、QCDの改善やデザインレビュー(DR)での検証項目の絞り込みなどちょっとした成果を出しつつ、MDの考え方に慣れ親しめる点にあります。よくある話ですが、いきなりMDの導入が決まり、部品共通化を進めなさいといわれても、それまでそんなことを考えたこともない設計者からすれば、どう進めればよいのか分からないわけです。なので、SSMのようなアプローチによって日常的な業務の中でQCDの成果を出しながらMDへの感度を高めていき、機が熟したタイミングでMDを本格的に推進すればハードルがかなり下がるのではないかと考えています。

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