米Apple社のスマートフォン「iPhone 5」の次機種のうち、旗艦機種となる「iPhone 5S」(仮称)の組み立て開始時期が、当初想定の2013年7月から1カ月以上遅れている。一部の新規部品や機能調整の遅れなどがボトルネックとなっている。ドイツ証券(以下、当社)は、8月中に量産を開始し、第3四半期(3Q)中の生産数量が1000万台以下となるのが現実的とみる。

 ロ-コスト機種「iPhone 5C」(仮称)については、製造受託メーカーの台湾Pegatrons社が7月中旬に量産を開始しており、3Qでは1500万~1700万程度の生産が可能とみている。しかし、5Sと5Cの量産台数は合わせて3000万に満たない。既存機種「iPhone 5」を足しても最大3000万台程度にしかならない。バリューチェーン内で期待されていた数量が、部品ベースで4500万~4700万、最終製品で3800万~4000万程度であることを考慮すると、かなり低い水準にとどまってしまうリスクが高まっている。

 現時点の4Qの見通しとして部品ベースで6000万、組立ベースで5500万程度とみられるが、我々は現実的な最善の水準として部品で4500万~4700万、最終製品で3800万~4000万とみている。もちろん4Qの数量は新機種の発売タイミングと価格設定、発売当初の実需動向で変わってくる。