日経エレクトロニクス

夫婦仲が冷え込んでも完成させた書籍です

根津 禎=日経エレクトロニクス
2013/09/02 05:00
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 少々前になりますが、2013年6月に「ビジネスを変える『ゲームニクス』」という単行本を発刊しました。著者は立命館大学 映像学部 教授のサイトウ・アキヒロ氏。同氏は、ゲーム・クリエーターとしての顔も持っており、その経験を基に、「人を思わず夢中にさせる仕組み」や「快適で使いやすいユーザー・インタフェース(UI)」などのゲーム制作の優れたノウハウを体系化し、「ゲームニクス」としてまとめた人物です。

 この編集作業を担当したのが私です。特定の技術をテーマにした別冊の編集の経験はあるものの、一般的な単行本の編集は今回が初めて。それだけに作業は難航しました。あんなことやこんなこと、想定外のトラブルも頻発。深夜帰宅や休日出勤が続き、夫婦仲も一時険悪に…。という苦労話はさておき、書籍の内容を少しだけ紹介したいと思います。

 最大のウリは、実際のゲーム画像を多用しながらゲーム制作のノウハウを解説している点です。これで文章だけで読むより、グッと分かりやすくなります。ただし、関係企業にゲーム画像の許可をいただくことも大変ですし、該当する画像を選んでデータとして取り込むのはもっと大変です。ゲーム画面の利用を許可していただいた企業の他、ゲーム画面の選択や撮影、画面の説明文の執筆に多大なるご協力をいただいたフリーライターの鴫原盛之氏に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 ゲーム制作のノウハウの解説を読むことで分かるのは、任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」がいかに優れているかということです。サイトウ氏の解説を読むと、ユーザーのことをよく考えて作り込んだゲームだとはっきり分かります。

 タイトルに関しては、さまざまな方に読んでいただきたくて、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」にしました。ただ、私は日経エレクトロニクス誌の記者ということもあって、エレクトロニクス業界の技術者の方に読んでいただいても参考になるように、内容を構成しました。特に書籍の最後の章では、ゲーム制作のノウハウを適用した事例を紹介していますが、スマートフォン向けアプリやタブレット端末、リハビリ機器、教育・学習機器を取り上げるなど、いずれもエレクトロニクスに関係するものを選んでいます。

 具体的には、アプリはKDDI研究所が開発した「ぺらたま」です。同アプリは、温泉たまごの突然変異によって誕生したキャラクター「ぺらたま」にタッチしたり、おしゃべりを楽しんだりしながら、進化させていく育成ゲームです。詳細は、書籍に譲るとして、ぺらたまでは音声合成という技術の本質そのものをエンターテインメント化することをテーマにしています。2012年7月に配信を開始し、同年11月には10万ダウンロードを突破しました。

 教育・学習機器は、ベネッセコーポレーションのデジタル学習機器「ひらがなかたかな かきじゅんマシーンG(グレート)」「漢字計算ミラクルタッチ」を取り上げました。その名のとおり、前者はひらがな・かたかなの字形や正しい書き順を覚えてもらうことなどを、後者は、漢字や計算を学んでもらうことなどを目的した機器です。両製品は、同社が小学生会員向けに提供する通信教育サービスの特典教材として配布されました。詳細は省きますが、これらには子供が自ら進んで勉強を続けるような仕組みを随所に盛り込んでいます。

 タブレット端末はNTT東日本がバンダイナムコゲームスの協力を仰ぎながら開発した「光iフレーム2」を、リハビリ機器は九州大学の松隈浩之氏らの研究グループの成果を基に開発した「リハビリウム起立くん」を取り上げています。いずれも概要については、こちらの記事で取り上げておりますので、ご関心ある方はご一読いただければ幸いです。(光iフレーム2の関連記事リハビリウム起立くんの関連記事

 こうした応用事例の他、技術者の方に読んでいただきたいのが、入力デバイスの特性に応じたUI設計の指針を解説した箇所です。ボタンやタッチ・パネルによるUI設計の指針を解説している他、過去ゲーム機に採用されて、現在は消えてしまった入力デバイスも紹介しています。こちらはサイトウ氏の言葉を借りれば、登場した当時はあまり活用されることなく消えていきましたが、現在の技術やソフトウエア開発のノウハウがあれば、今でもおもしろい活用法がありそうです。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。ご興味を持たれた方、ぜひお手に取っていただきたく。弊社のWebサイトの他、 Amazon.com社でも販売中です。価格は3500円(税別)と、飲み会を1回がまんすれば、購入できる水準にしております。

 そして、サイトウ氏には弊誌セミナー 「NEアカデミー」にも登壇していただきます。実例を交えてゲームニクスについて徹底的に説明し、その活用法を解説します。テキストの他、今回の書籍も使いながら、進めていく予定です。こちらは飲み会1回分の受講料とは参りませんが、サイトウ氏にコンサルティングしていただくよりもリーズナブルかと思います。奮ってご参加ください。

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