「ディスプレイ」サイトで、この1カ月間によく読まれた記事は、ディスプレイ業界の不安を反映しているようだ。業界の不安とは、トップの記事が取り上げている「ブルーライト問題」や2位と4位の記事が指摘している「解消しない需給ギャップ」である。
ブルーライト問題は、液晶ディスプレイのバックライト光源が含む波長460nmをピークとする青色光に由来する人体への影響だ。記事は、白色LEDのスペクトルを白熱電球や白色有機ELと比較したグラフを掲載している。このグラフを見ると、同じ白色に見える3光源だが、合成前の成分はずいぶんと異なっていることが分かる。特に白色LEDのスペクトルは、赤色に寄っている白熱電球とは対照的だ。
この記事では、ブルーライトが眼球への直接的な影響のみならず、生体リズムに異常をきたす可能性を指摘している。学会では、CIE(国際照明委員会)がブルーライトの規制化について検討していることも確認できたという。一方、LEDメーカーが太陽光に近いスペクトルの白色LEDも開発しており、対策が進んでいることも分かる。
2位の記事は、台湾ウォッチャーである著者が大手液晶パネル・メーカーの決算を紹介するとともに、このメーカーの過去の成功戦略が今後は通用しなくなる恐れと、業界全体で需給ギャップが解消していない現状を冷静に分析している。需要が回復しない以上、生産調整を強化しない限り問題は解決しないという。4位の記事も同じ著者が、需給ギャップの問題点を指摘している。仮に2013年10月まで生産調整がなければ、そのメーカーが手持ちのキャッシュを持ち出さないで済むキャッシュ・コストまで、出荷価格が下落するシナリオを示している。