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 全長4.9mの大型セダンながら、JC08モード燃費で30km/Lを達成したホンダの「アコードハイブリッド」。先日、実際300kmほど走らせて実燃費がどの程度出るのか試してきました。

 その結果、分かったのは、都内の低速走行でも、高速道路での走行でも、特に気を使わなくとも20km/L以上の燃費が出ることでした。メータの平均燃費計によれば都内、高速、山道を走った321kmの平均は18.3km/Lと20km/Lに達してなかったように見えますが、走行距離をガソリンの使用量で割った満タン法では20.25km/Lとなりました。

 このうち、主に高速道路を走った95.4kmの区間燃費では、平均燃費計の値は22.8km/Lでした。また、翌日に都心部だけを平均速度20km/h程度で26km走行したときの平均燃費は、エコ走行の「ECONモード」で走ったところ、車載燃費計で20.3km/Lでした。連日35℃に迫る猛暑の中で、エアコンを使いながら、20km/Lを達成したのですから、エアコンを使わない春や秋にはもっと燃費が伸びることでしょう。

 もちろん、JC08モード燃費の30.0km/Lには届きませんが、アコードハイブリッドの燃費はWebサイトにユーザーが実燃費を投稿する「e燃費」のデータと比べてもかなり上位に入ります。例えば、ハイブリッド車(HEV)では、トヨタ自動車「アクア」が2012年の平均値で22.8km/Lで第1位になりました。そして、第2位は「プリウス」の20.4km/Lです。プリウスより1クラス上のボディサイズとなるアコードが、ほぼプリウスと同等の燃費であることは驚きに値します。

 アコードのメータパネルには航続距離を表示できますが、ガソリンタンクが60Lであるため、走行当初には平均燃費から計算して1200km以上との表示が出ました。にわかには信じられなかったのですが、実際に20km/Lを出せることが分かったことで、その表示にも納得。日本のユーザーの年間走行距離が1万km程度と言われていることを考えると、平均的なユーザーなら月の給油は1回以下でも十分でしょう。

 市街地で走らせると、EV(電気自動車)として走る時間と、エンジンをかけてシリーズHEVとして走る時間が、交互に訪れます。EVとして走るときはガソリンの消費がゼロですが、電池のSOC(充電状態)が徐々に下がるため、ある時点でエンジンがかかり、発電が始まります。そして、SOCが回復すると再びEVとして走る。これを交互に繰り返すのです。都心の平坦な道を走っている際に、エンジンがかかると瞬間燃費計は10km/L当たりを指します。しかし、EV走行とHEV走行の時間比率は半々ぐらい。この結果、走行距離で見ると、半分が燃費ゼロ、半分が10km/Lということで、トータルでは20km/L程度になるのです。

 一方、高速走行ではエンジン駆動によるモードも体験しました。90km/h程度からエンジンモードに入りますが、カーナビ画面にエネルギーフローの画面を出しておくと、エンジンとタイヤの間に“歯車”マークが表示され、エンジンの力で動いていることが分かります。エンジンの効率が高い速度では、このモードになりますが、アクセルオフではすぐにエンジンが停止、回生やEV走行に切り替わります。高速走行でもこうした惰性による走行やEV走行をうまく使って、エンジンの使用時間を抑えるのです。

 低速から100km/h程度の高速まで、アコードハイブリッドはバランスよく低燃費を実現しています。EV走行とHEV走行、そしてエンジン走行への切り替えの違和感もなく、非常に完成度の高いシステムといえます。惜しむらくは、タコメーターがなくシリーズHEVモードにおけるエンジン回転数が分からないこと。エンジンの燃費率は、回転数と負荷で決まりますが、回転数が分かればどの程度効率のよい状態で燃えているのかを推測しやすくなります。こうした装備があれば自分で燃費を伸ばすコツがさらに分かりやすくなるかもしれません。