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 Apple社製品のユーザーはブランドに対する忠誠心が非常に高く、iTunesというアプリケーションをダウンロードするという経営スタイルを取っていることから、現在のテレビ市場におけるリーディーングカンパニーにとって、脅威をもたらしかねない存在に変わりはない。北米の消費者らの購買意欲をかきたて、「エンターテインメントの分かち合いとリンク」に重点を置いた使い方で、Apple製品のユーザーがすぐに使いこなせるように工夫を凝らしている。その一方で、関連アプリも次々と増やしている。将来的にApple TVがテレビ市場で優位性を獲得するために重要な項目を次にまとめてみた。

1.「App Store」と「HMI」、二つの話題の解決者――Apple

 世界におけるApple社のスマートフォンやタブレットの愛用者は莫大な数に上る。アップル社が運営するアプリケーションのダウンロードサービス「App Store」との融合性も高い。加えて近年、携帯情報端末を使ってエンターテインメント・コンテンツを楽しむ人が増えている。

 それにもかかわらず、帰宅後のリビングでテレビを見ているときには、このような満足感が味わえないのが現状である。近頃は世界のテレビのリーディング・カンパニーが相次いでスマートTVの開発に注力しているが、最大の課題はテレビの「アプリ・ショップ」と「HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)」にある。

 そこへApple社がアプリ・ストアの運営経験をテレビ産業に持ち込むことになれば、現有の産業にとって大きな脅威になることは間違いない。HMI面では、まず携帯情報端末かApple社が独自に開発したリモートコントローラーで操作したりするようにするか、最終的には音声コントロール技術を導入して対応するだろう。このように、Apple社がスマートTV市場に参入することは、産業全体にとって脅威になる可能性が非常に高いということだ。

2. ハイエンド・テレビ市場への参入を目指し、スマートTV市場での地位を固める

 2012年下半期の各サイズのテレビ製品の位置付けと価格帯から分析すると、近年Apple社が発売した「Apple TV」(セットトップ・ボックス)のアプリサービスと機能から見て、Apple製テレビ・セットが発売されるなら、スマートコネクテッド機能なしで粗利益の低い主流価格ゾーンでの競争を避け、あえて価格帯が1200~1500米ドルの製品に狙いを定めるに違いない。この他、各地域におけるケーブル・テレビ事業者や運営事業者とも連携の道を探り、それを通じてテレビ市場に参入し、スマートTV市場におけるリーディング・カンパニーとしての地位の獲得を目指すだろう。全面的に「スマート」分野の製品を一網打尽、との狙いである。