2013年8月27日に初の打ち上げを予定している新しい固体燃料ロケット。それが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「イプシロンロケット」だ(図1)。

2013年8月20日の打ち上げリハーサルで発射台に設置された「イプシロンロケット」(試験機)
図1●2013年8月20日の打ち上げリハーサルで発射台に設置された「イプシロンロケット」(試験機)
提供:JAXA

 JAXAにとっては、2006年に退役した「M-Ⅴロケット」〔全長30.8m、直径2.5m、質量140.4t(5号機の場合)〕に続く約7年振りの固体燃料ロケット。手軽かつ高頻度に打ち上げられるようにと開発してきた新時代の固体燃料ロケットである。

 最初に打ち上げられるのはその試験機(1号機に相当)で、全長24.4m、直径2.6m、質量(ペイロード含まず)91t。打ち上げ能力は、地球周回低軌道(高度500km)に衛星を投入する場合で1200kg〔M-Ⅴロケット(5号機)の1850kgの約2/3〕となっている。

 試験機では実現できていないが、続く2号機以降も改良を続け、2017年度に打ち上げを目指す改良型では、打ち上げ費用を30億円(M-Ⅴロケットの約4割)以下に低減する目標。これが実現すれば、打ち上げ能力当たりの打ち上げ費用が、M-Ⅴロケットと比べて約4割以上安くなることになる。ちになみに、試験機の打ち上げ費用(開発過程の試験含む)は、約53億円(うち機体の費用は約38億円)と試算されている。