ローコスト機種の方が先に生産開始の可能性

 iPhone5の2Q生産(パネル/部品ベース)はドイツ証券(以下「当社」)予想に近い18M(1800万)台弱であったと見ている。次機種(iPhone5Sやローコスト(LC)機種)向けパネル、部品の作り込みの遅れを見込み、前月の当レポートで見通しを下方修正したが、実際もその水準で着地したとみられる。

 フラッグシップのiPhone5Sに関しては、一部部品やソフトなどに遅れが見られ、組立開始のタイミングが当初想定(7月)より遅れそうである。一方のローコスト機種に関しては、プラスチック筺体を採用することに伴うEMI(electromagnetic interference)や熱の問題があるようだが、深刻な事態ではないと見ている。つまり、ローコスト機種の方が先に製品生産が軌道に乗る可能性が現時点では高いだろう。

 最終製品の組立は台湾Pegatron社、Hon Hai PrecisionのODM/EMS 2社が行うと当社では想定しているが、最初の注目点は量産開始時期である。本体組立に使用される部品の多くは、すでに一定水準の在庫がODM/EMS工場に部品メーカー在庫として準備されている。問題は、ODM/EMSが計画通り生産を始めないと、実際の部品の売上が立たず、在庫を積み上げるか、供給を抑制しないといけない。

 ローコスト機種に関しては、少量ながら7月半ばに量産開始とみているが、5Sに関しては量産がまだ確認できない状況であり、前述のように量産タイミングが8月にずれ込みそうな気配である。iPhone5Sの投入の遅れは、同機種の販売にとって致命傷となりかねない。細心の注意を払い観察を続けたい。