好調維持の分野が減少

 ただし、最終製品を見ると、好調を維持している領域がさらに減少していることには注意したい。先月の当レポートでは、「これまでは一部ブランド(韓国Samsung Electronics社、韓国LG Electronics社、ソニーや中国ブランド、ホワイトボックス)のスマートフォン、タブレットくらいであり、PC関連、フィーチャーフォン、ゲーム機器、DSC(コンパクト+デジタル一眼レフ(DSLR))などはむしろ想定より悪い。フラットパネルテレビ、白物家電、複写機やプリンタ、車載関連も想定線の域を出ていない」、「そしてスマートフォンにおいても、Samsung ElectronicsのGalaxy S4の販売が当初見通しを下回り、ハイエンド→ミドル・ローエンド機種へのシフトが見られる」と述べた。

 それから1カ月の間に、スマートフォンでは、3位勢のうちLG Electronics、フィンランドNokia社、台湾HTC社などがスローダウン、ホワイトボックスでも3.5インチ以下の低解像度機種が中国の通信事業者の方針変更などもあり、大幅な調整に入っている。Appleは「iPhone5」後継機種のうち旗艦機種の「5S」の量産時期が大幅に遅れるリスクが浮上。タブレットでは、ホワイトボックスが好調を維持する一方で、最大手のAppleでは3月まで好調だった「iPad Mini」が、2Q以降の調整が当初想定以上に大きくなっているうえ、Retina版新機種の量産タイミングが遅れるリスクが大きい。また、PCではNBがタッチパネル(TP)搭載機種の販売不振もあり、2Qも想定を下回り、テレビは中国における補助金打ち切りと大手ブランドの販売停滞(特に欧州と一部新興国)もあり、3Qの山が例年より低くなりそうである。

 今年の下期については、最終製品、関連部品、部材共に、現在のコンセンサスに比べて一段慎重な見通しを前提とするべきと考える。12月から調整局面が続くApple向け部品・部材供給は、6月になっても新機種向けの部品仕込みが進まず、想定を下回る生産状況が続いている。既存機種ではiPad、iPhone5はともに低水準の部品供給、生産が続いているうえ、唯一好調であったiPad Miniも、4月からの調整自体は想定範囲内のものの、その調整幅は当初想定を著しく上回っている。