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クリーンテック世界動向

電力価格10倍で需要2割減、実証が示す省エネ「実力値」

  • 日経BPクリーンテック研究所 金子憲治
  • 2013/08/28 00:00
  • 1/3ページ

 電力需給の逼迫度合いに応じて、需要抑制にインセンティブを与えたり、消費にペナルティーを科したりして、需要を抑制する「デマンドレスポンス(DR、需要応答)」の試みが始まっている。国内でも電力価格を変動させて需要家が自発的に削減する方式のDRの実証が始まり、20%を超える削減効果があることが分かってきた。欧州では、自発的な節電行動に加え、電力価格の変動によって家電を自動制御する試みも始まっている。

 電力料金の単価を日中、一時的に10倍に上げると需要抑制効果は20%を超える――。マンション2棟に住む約200世帯を対象に、北九州市で実施されたDR実証プロジェクトで、こんな結果が明らかになった。

 デマンドレスポンス(DR、需要応答)とは、需要家に対して何らかのインセンティブ(報奨)を与えたり、ペナルティーを科したりして需要を変動させる仕組みだ。米国では、電力の大口需要家に対し、需給逼迫が予想されるピーク時(以下、緊急ピーク時)に、需要抑制を要請する仕組みが早くから導入されてきた。

 「アグリゲータ」と呼ばれる事業者が、電力会社から緊急ピーク時の需要削減量を請け負い、複数の大口需要家に要請して削減量をアグリゲート(集める)するビジネスも成長している。こうした従来型のDRは、経済的インセンティブをベースにしている。あらかじめ削減可能量を契約しておき、実際に削減に応じた場合にお金を支払う。電力会社にとっては、緊急ピーク時に一定の削減量をほぼ確実に担保できる。

 日本の電力会社が大口需要家と結んでいる「需給調整契約」もその一種で、緊急ピーク時に需要抑制を要請できる代わりに経済的なインセンティブを提供している。

 これに対し、北九州市で実施したDRは、緊急ピーク時に電力料金の単価を上げるという一種のペナルティーを科すことで、需要を抑制することを狙ったものだ。インセンティブ型DRに対して、「価格シグナル型DR」と呼ばれる。インセンティブ型DRは確実に削減できる一方で原資が必要になる。これに対し、価格シグナル型は原資が不要な半面、価格シグナルに対する需要家の自発的な削減行動を完全に予測できない欠点がある。

価格シグナル型に4つのタイプ

 しかし、将来的に電力の市場価格と連動させて効率的に需給バランスを実現できる可能性があることから、世界的に実証プロジェクトが活発化している。

 日本でも経済産業省が主導する次世代エネルギー・社会システム実証プロジェクトの一環として始まっている。北九州市以外にも、京都府けいはんな学研都市では700世帯で、愛知県豊田市では160世帯で実証が始まり、横浜市では3000~4000世帯を対象に実証事業が進んでいる。

 価格シグナル型には、4つのタイプがある(表1)。このうち「TOU(時間帯別料金)」は、すでに普及している。2012年12月に米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)が公表した『DRと先進メータリングに関する調査報告』によると、米国では7万2000MWものDRによる需要削減余地が確保されている。これは全米のピーク需要の9.2%にもなる。

表1 価格シグナル型デマンドレスポンスの4タイプ
(出典:日経BPクリーンテック研究所)
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 ただ、このうち約85%がインセンティブベースのDRプログラムで、残りの約15%はほとんどが「TOU(時間帯別料金)」だ。同報告書では約140社がTOU導入済みと回答している。日本でもオール電化住宅などを対象にTOUがメニュー化されている。日中の料金を割高にする一方、深夜などを割安にするといったパターンが一般的だ。

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