ビジネスで実践されている毛沢東思想
「改革・開放」という国策が開始される1978年まで、毛沢東思想は党、国の指導方針として、軍隊や国家機関はもちろん、学校や会社においても日常的な学習が求められた。筆者の記憶では、小学校や中学校では、毎週、そのための特別の時間が設けられて、毛沢東の文章を読んだり、暗記したり、感想を書いたりした。このように、小さなころから毎日たたき込まれると、それは頭に入り込んで、そう簡単に忘れられなくなる。現在、40代以上の中国人の多くはそれを経験しているはずだ。
そうした時代を経たことで、1980年代に起業した実業家たちは、意識的にも無意識的にも毛沢東思想が頭に染み込んでおり、自社の経営においても毛沢東思想を実践していた。実際、自身の成功の原動力として、毛沢東思想を挙げる実業家は多く存在する。例えば、中国Alibaba Group(阿里巴巴集団)の創業者である馬雲氏、中国Haier Group(海爾集団)の創業者である張瑞敏氏などは、経営戦略、企業文化、人事管理など、毛沢東思想は自分の企業のさまざまな経営側面において非常に参考になると発言したという。
毛沢東思想から経営管理を学ぶような書籍までも出版されていた。毛沢東思想は中国のビジネス業界へ幅広い影響を与えていると見られる。実際に中国企業の行動を考察してみると、毛沢東思想の存在は本当に大きい。