スマート社会を実現するエネルギー技術の情報をお届けする「エネルギー」サイトに投稿の全記事を対象に、直近4週間(2013年7月15日~8月18日)でアクセス数が多かった20本を紹介する。今回の1位と2位は共に、セブン-イレブン・ジャパンの省エネに対する取り組みを紹介した記事だった。

アクセス記事ランキング(7/15~8/18)
エネルギー
1 コンビニ改革、コロッケ揚げる時間帯を変え売上高アップ
2 コンビニ改革、電力センサが増収ツールに
3 日本式は高い――欧米の「省・蓄電池型」再生エネ導入に注目
4 キヤノンMJがLED電球、“液冷”の100W相当も
5 DIYを楽しむ知識:自作ソーラー発電に適した畜電池とは
6 世界3位の地熱資源大国――「温泉発電」で脱・宝の持ち腐れ
7 シャープ、シースルー太陽電池モジュールに5機種を追加
8 富士フイルム 、スーパーコンピュータ「京」を用いてLiイオン2次電池における電解液の反応過程を解明
9 変換効率15%の色素増感型太陽電池、Gratzel氏らが開発
10 自動車だけじゃないモデルベース開発
11 NECトーキンとNECがインフラ監視用の無線センサ・モジュールを開発
12 太陽電池で世界一周できる時代に
13 京都・梅小路公園のチンチン電車を蓄電池車両化、東京アールアンドデーが受注
14 【エネルギー】地熱発電、宝の持ち腐れから脱却できるか
15 電池の未来は女の子が決める?
16 6.5mm厚の太陽電池モジュール、ソーラーフロンティアが発売へ
17 パナソニック、寒冷地での使用が可能な-40℃対応のNi-Cd2次電池を発売
18 ソフトバンク、Bloom Energyと合弁で電力供給会社を設立
19 日清紡HD、徳島事業所で1.75MWの太陽光発電所の営業運転を開始
20 楽天、ニチコン製EV用充放電設備を取り扱い開始

 これらは、「セブン-イレブンが語る次世代強い店づくり」シリーズの記事である。同シリーズの1回目の記事「コンビニ改革、電力センサが増収ツールに」が今回のランキングの2位。2回目の記事「コンビニ改革、コロッケ揚げる時間帯を変え売上高アップ」がランキングの1位になった。セブン-イレブン・ジャパンでは、コンビニエンス・ストアの設備の省エネ化を目的に導入した「センサによる店舗のモニタリング・システム」が、現在、増収・増益のための強力なツールとして活用されているという。

 現在、同システムは売り上げ拡大のほか従業員の教育にも役立てられている。同社の取締役 常務執行役員の三谷 庸氏は、もはや経営の「ディフェンス」策ではなく「オフェンス」策と強調する。既に国内の約1万5500店のうち1万5259店に適用しており、将来は約5万店を展開している世界16カ国にも広げていく。

 同社は、センサを活用する取り組みを2010年7月に開始し、2010年度は8カ月間で電気使用量を前年に比べて95.4%に削減した。2年目の2011年度の電気使用量は、2010年度に比べて90.9%となった。なお、この数値には、省エネの取り組みによる効果だけでなく、東日本大震災に伴う計画停電の影響も含まれている。3年目の2012年度の電気使用量は、2011年度に比べて96.7%、2010年度比で87.0%まで削減できた。

 取り組みの具体例の1つが、コロッケなどの揚げ物用の設備(フライヤー)の使い方を改善した件である。フライヤーの電源を入れ続けている場合と比べて、販売のピークの前にまとめて作り、それ以外の時間帯はフライヤーの電源を切ると、電気使用量が減るばかりか、売り上げも増えたという。まとめて作るために油の酸化が抑えられ、おいしい商品を提供できるようになったことなどが効いたとする。

 また、ホット飲料(温めた缶コーヒーなど)の保温機能付き陳列棚に傾斜を付けることで、売り上げ増と省エネが共に達成できた。傾斜を付けたことで、ホット飲料同士が密着して熱が逃げにくくなり省エネ化し、さらに客が取り出しやすくなって売り上げが増えた。

再生エネ活用、日本では高コストが続く恐れ

 今回のランキングで3位になったのは、欧米の「省・蓄電池型」再生エネルネギー導入方法を紹介した記事である。記事によれば、欧米では、温暖化対策ばかりでなく、エネルギー・セキュリティ、地域住民の雇用確保などの視点から、再生可能エネルギーを高い比率で活用しようとの機運が高まっているという。ドイツや米国カリフォルニア州では、再生可能エネルギーを30%以上の高い比率で導入する目標を掲げている。

 風力発電や太陽光発電の大量導入には、出力変動を安定化するため、これまで相当量の蓄電池が不可避と言われてきた。しかし、欧米での実証研究の結果、電力市場と連動した需要側設備の自動制御によって蓄電池の必要量がかなり下げられることが分かってきた。日本が「蓄電池併設型の再エネ導入」、欧米が「需要制御型の再エネ導入」を進めれば、電力システムの稼働率で大きな差が付き、電力インフラの資産効率の悪い日本では、高い電力料金を需要家が背負い続けることになるという。

液冷式のLED電球が日本上陸

 ランキング4位は、液冷式のLED電球を紹介した記事である。カリフォルニア州サンノゼ市に本社を置く米SWITCH Lighting社というベンチャー企業の製品で、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が日本での独占販売を始めた。同じ明るさ(全光束)の既存品と比べて高価で消費電力は大きいが、調光可能であり、光の広がり方が白熱電球に近いことから、ホテルや店舗など光の質にこだわるユーザーへ販売していくという。