カナダのオンタリオ州で、スマートグリッド(次世代送電網)に関わるベンチャー企業が事業を拡大している。日経BPクリーンテック研究所の『次世代社会創造プロジェクト総覧』(2013年6月28日発行)によると、アンシラリーサービス(電力品質を維持するための系統運用サービス)のような日本ではまだ始まっていないサービスや、水中に設置する「空気圧縮システム(CAES)」のようなユニークな蓄エネルギー事業を手掛ける企業が出てきた。

 この背景には、州全体にスマートグリッドを構築して再生可能エネルギーの導入を進め、新しく現れたニーズに対応するという取り組みがある。オンタリオ州は、2010年末に470万台のスマートメーターの設置を終えた。再生可能エネルギーについても、系統電力網に接続された風力発電や太陽光発電が増えている。系統の安定化や電力需要のピークシフトがニーズとして挙がっている。

 スマートグリッド関連のベンチャー企業が育っているのは、オンタリオ州政府の資金面でのバックアップが大きい。オンタリオ州政府は、2011年4月にスマートグリッドファンドを立ち上げ、スマートグリッド分野で事業を行う企業の研究開発を支援している。こうして、スマートグリッドのような新しい分野でも、アイデア一つで起業できる環境を整えた。

 米国が「再生・再投資法(ARRA)」によってスマートグリッドの敷設とともに経済の活性化を狙ったように、カナダ・オンタリオ州もスマートグリッドの構築に合わせてベンチャー企業を育成した。ここでは、特徴的なベンチャー企業3社を紹介しよう。