3つの産業の特徴と産業構造の変化動向

 に3つの代表的な産業の特徴と、産業の構造変化の動向を列挙してみた。

 縦軸は上から航空機、自動車、情報機器/情報家電とし、横軸は「業態」「製品の生涯寿命」「基本技術の変化スパン(技術世代の長短)」「製品種(製品バリエーション)の多少」「産業界としての囲い込み度」「基本技術のオープン・アーキテクチャ度」を項目とし、さらにその産業の世界的な構造変化の動向を示してみた。

表●代表的な産業の特徴と構造変化の動向
構造変化動向
業態製品の生涯寿命基本技術の変化スパン製品種業界としての囲い込み度オープンアーキテクチャ度世界的な構造変化の動向
産業航空機個別受注型垂直統合
・頂点はプライムOEMが航空機インテグレーターとなり、その下位に選別された共同開発パートナーがサブシステム・インテグレーターと位置付く構造
・巨大なMROビジネスが利益の源泉
・SI・サービスプロバイダーの成長
自動車量産型垂直統合
水平協業

・先進国対応:次世代技術、環境対応の開発競争
・新興国対応:低コスト車の現地開発・現地生産
・モジュール化で水平分業化が加速
情報機器/情報家電量産型極めて多水平分業
・技術のオープン化、標準化が進み、既に世界的な水平分業化(OEM、ODM、EMS、コンポーネント・サプライヤー)
・EMSが幅広く共同参加
・構造の階層間の世界規模での大競争

 産業構造の階層は、特に自動車業界ではOEM(車体メーカー)、Tier1(1次部品メーカー)、Tier2(2次部品メーカー)などと説明されることが多いが、もう少し直感的で分かりやすい呼称を使いたいので、図1に示す通りに「インテグレーター」「サブシステム」などの語句を使わせていただく。もともとソフトウエアの階層表現では以前からおなじみの言葉だが、最近は航空機産業でも使われ始めている。

図1●産業構造の階層
図1●産業構造の階層
本稿では「OEM」「Tier1」などの用語の代わりに「インテグレーター」「サブシステム」などを用いる。
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 以下、に示したような産業別の特徴と、PLMシステムフレームの特徴について触れていく。