連載主旨
近年、制御システムに対するサイバー攻撃の危険性が高まっています。制御システムにおけるハードウエアやOS(基本ソフト)の汎用化が進んだことに加え、サイバー攻撃のためのツールを売買するサイトが存在し、高度な技術を持たなくてもサイバー攻撃ができる時代に既になっているからです。世界的には、サイバー攻撃を使った犯罪組織も存在しており、企業恐喝や株価操作、競合企業への攻撃などにサイバー攻撃が利用される懸念が高まっています。しかも、サイバー攻撃の直接の対象にはならなくても、巻き添えになって被害を受けるケースも想定されます。そこで、本コラムでは、侵入経路や攻撃パターンといったサイバー攻撃の全体像を紹介するとともに、サイバー攻撃に強い制御システムを実現するには何が必要なのか、また制御機器ベンダーや業界団体などではどんな取り組みが進められているのか、などについてVEC 事務局長の村上正志氏に解説してもらいます。
村上 正志(むらかみ まさし)
VEC 事務局長
村上 正志(むらかみ まさし) 1977~1991年、日本ベーレーでシステムエンジニアとして従事。火力発電所のボイラ自動制御装置、プラント監視制御装置のシステム設計などを担当。1991~1994年、画像処理VMEボードメーカーに所属。大型カラー印刷機の画像処理、大蔵省印刷局の検査装置などのシステム・コンサルティングを手掛ける。1994年、デジタルに入社。SCADA製品の事業戦略企画推進担当、SE部長を経て、1999年から現在に至るまでVEC事務局の局長を務める。2011年よりデジタル社コーポレートコーディネーション部門を兼任。経済産業省商務情報政策局主催「制御システムセキュリティ対策タスクフォース」委員 普及啓発ワーキング座長、日本OPC協議会 企画部 副部会長、PLCopen Japan 幹事メンバー/監事、日本電気制御機器工業会 プログラマブル表示器専門技術委員会 副主査、同 制御システムセキュリティ研究会 副主査、制御システムセキュリティ関連団体合同委員会 委員、日本能率協会主催計装制御技術会議企画委員会 委員、MECHATROLINK 幹事などとしても活動している。