弊誌でエネルギー・ハーベスティングという言葉を使って記事を展開してきたのは2010年ごろからだったかと思います。当時は言葉としての目新しさもあって独自の発電技術をアピールする企業が多くありました。最近でも展示会を取材すると出品が目に付きます。ですが、「これ、去年も見たような…」という印象のものも多く、トーンダウンしてしまったように映る方もいるのではないでしょうか。

 「実は、サンプル提供やデモ・ボードの依頼は全然減っていないんですよ」――。

 つい先日、米国の大手半導体メーカーLinear Technology社の日本法人リニアテクノロジーで東日本地区の地域統括セールスマネージャを務める松田茂氏に取材でお会いした時にこんな言葉が返ってきたのでした( Tech-On! 関連記事)。私自身、エネルギー・ハーベスティングの普及が思ったより遅いと感じており、担当の松田氏に状況を確認してみたのでした。

 「確かに2010年ごろは民生機器の担当者を中心に非常に多くのお問い合わせがありました。ですが、『思ったより発電量が少ない』との理由でなかなか事業には結びついていませんでした。最近ではセンサとの組み合わせを想定する方が増えているように感じています」(松田氏)。インフラ監視のニーズとつながりそうな予感です。

 そして、お話を伺っている最中にこんな言葉を思い出しました。

 「ウチの社員、95%以上はエネルギー・ハーベスティングって言葉を聞いたことすらないんですよ」――。

 これは、ある大手ゼネコンの技術者の嘆き節でした。エネルギー・ハーベスティングとは何か、土木・建築業界で理解している人はほとんどいないとのこと。反省です。もっとニーズとシーズをつながねば。