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中国の「新」都市住民(3):新移民の潜在力

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2013/08/26 06:00
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 今月は『中国青年発展報告(2013)』という書籍をご紹介している。16~33歳の戸籍地以外の都市に居住する若者を「新移民」と名付け、彼らを「新世代農民工」「蟻族」「ホワイトカラー」の3種に分類し、それぞれの違いを分析しつつ彼らの生態を探ろうという書籍である。

今回紹介する書籍
基本情報
書名:中国蓝皮书 中国青年发展报告(2013) No.1 城市新移民的崛起
主編:廉思
出版社:社会科学文献出版社
出版時期:2013年6月

 本書の中で最も印象的なのは、都市への新移民を、以前のように枠組みからはみ出した、ある種の厄介者として扱うのではなく、積極的に市民として受け入れていこうという姿勢。先月ご紹介した「中国2013」の中でも従来の農村戸籍、非農村戸籍という区別をやめようという提言があったが、全体として中国は自由主義国家からみて理不尽と思える制度を改めようという機運があるのではなかろうか。それは、「人権的見地から」とか、「世界の大国として」といった理想から来るものではなく、本書で述べられているように世界的に都市化が進行し、中国自身は人口ボーナスもなくなった今、指摘されてきた社会の歪みを少しでも正さなければ今後の発展はない、という実利的な見地から来るものかと思われる。となれば、この変化は確実なものであり、その方向性は観察に値するであろう。

 話を戻して、都市の新移民に関する紹介に移ろう。本書は、概括・グループ別解説・テーマ別解説・個人のエピソード・付録の5章からなっているが、今回はテーマ別解説から、都市への新移民の実態を探ってみたい。テーマはそれぞれ「都市への融和」「消費の新勢力」「ポスト『ルイス転換点(工業化が進み農業の余剰労働力がなくなる点)』時代」「発言権の獲得とその戦略」「都市の文化的活力の復興」「政治的新興勢力勃興の可能性」となっている。筆者は2005年の中国で出版された農民工に関するルポの翻訳をしたことがあるのだが、そのときにはこのようなテーマには全く触れられておらず、保険や教育、給料の遅配、労働環境などに関する話題ばかりであった。そのことからも都市への移民の立場が変わってきていることが見て取れるだろう。

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