「ディスプレイ」サイトで、この1カ月間に最も読まれた20本の記事をあらためて見て、2位に入った「『ディスプレイ×クルマ』が熱い」と14位の「Google Glass量産の布石か、LCOSの生産拡大に向けてHimax子会社にGoogleが出資」が気になった。いずれもパネル・メーカーとセット(機器)メーカーの密な関係を通した開発や調達の重要性を示している。
2位のクルマの記事によると、ディスプレイ業界では「特に中小型パネルのメーカーが、スマートフォン/タブレット端末に続くもう一つの事業の柱として、車載用に大きな期待を寄せて」いるという。興味深いのは、顧客側のドイツBMW社も「多くのパネル・メーカーと密接な関係を構築することや、最新のパネル技術動向を常に把握することは大変重要」と考えていることだ。自動車の情報表示系は今後大きく変わると見られることから、パネルは自動車メーカーにとって中核部材の一つになっているのかもしれない。ここでパネル・メーカーは、独自製品を強みに有利な立場を築ける余地が残っている。
14位のGoogle Glassの記事は、米Google社が開発したヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)であるGoogle Glassの表示素子「LCOS」の生産メーカーに、Googleが出資を決めたという内容。同社の狙いは「Google Glassの量産に向けた、LCOSの数量確保」とみられる。Google Glassにとって主要な機能部品はLCOSであり、「LCOSの生産能力は不足している」。民生機器分野では、部材の供給過剰をもたらしがちな水平分業型開発・生産体制が前提と言えたが、ここでGoogleが目指しているモデルは中核技術を囲い込む垂直統合型だ。
ランキングの他を見ると、やはり有機EL、「IGZO」など新技術への関心が高い。9位の「映像投射装置から現実拡張装置へ」は、プロジェクション・マッピングという応用が、プロジェクタを現実拡張装置に変える可能性を指摘している。