2012年の自動車世界販売台数で首位となったのは、974.8万台を記録したトヨタ自動車でした。2位はドイツVolkswagenグループで934.5万台、3位が米GM社の928.8万台で、ここまでが900万台を超えています。続いて、4位は809.7万台のRenault日産グループ、5位は711.9万台の韓国Hyundai Kiaグループです。

 特に5位のHyundai Kiaグループは、この十数年でその生産規模を3倍以上に拡大しています。かつて、1999年に生産台数200万台超だったHyundai Kiaグループは圧倒的なスピードで販売台数を伸ばし、上位にいたホンダやフランスPSA Peugeot Citroenグループ、米Ford Motor社などを抜き去りました。これだけ急に成長した自動車グループは、前例がありません。

 特に、規模の大きい上位メーカーがアライアンスや買収などで、ブランド数を増やしながら生産規模を拡大しているのに対し、同グループは2ブランドだけです。それでもこうした急成長を実現してきたのには、会長のチョン・モング氏を頂点に、品質を高めて、デザインに優れるクルマを積極的に投入し、しかもそれらを非常にスピーディーに実施してきたからでしょう。

 ただし、同グループがいま、躍進の一つの踊り場を迎えていることもたしかです。リーマンショック後は非常にウォン安が進み、韓国車の輸出競争力が高まって同グループは追い風を受けました。ところが、現在はウォン安の修正が進み、競争力は落ちる方向です。また、北米の大量リコールや、燃費の水増し問題からの信頼回復も課題です。

 そうはいっても、スピード感に優れる同グループのこと。すぐに新たな手を打って成長し続ける可能性が高そうです。自動車専門の調査会社、IHS Automotiveは同グループが2020年にも生産台数でトップ5を維持するだろうと見ています。トップは1100万~1200万台でトヨタ自動車とVolkswagen社の争い、そして3位は1000万台クラスをめぐり、GM社とRenault日産グループの攻防となりそうです。肝心のHyundai Kiaグループは、815万台程度になると見ています。これまでのような何倍もの成長はさすがに望めませんが、同グループの存在感は今後も高まっていきそうです。

 Hyundai Kiaグループの強さと課題については、2013年7月30日発行予定の日経Automotive Technology 9月号に掲載予定です。こちらもぜひ参考にしてください。