ホンダの燃料電池車「FCX」に乗る当時の首相の小泉純一郎氏
図1●ホンダの燃料電池車「FCX」に乗る当時の首相の小泉純一郎氏

 2002年12月2日、トヨタ自動車とホンダは、燃料電池車のリース販売を世界で初めて開始した(図1)。納車先は中央官庁で、それぞれ4台と1台の納車だった。首相官邸で開催された納車式には当時の首相である小泉純一郎氏が出席し、燃料電池車は次世代自動車の有力候補として多くの人々から注目を集めた。

 もっとも、その後はハイブリッド車や電気自動車が存在感を強め、燃料電池車はここ数年はあまり目立たない存在だった。それが最近、再び脚光を集め始めている。

 きっかけは、トヨタやホンダが2015年に燃料電池車の販売開始を発表したことだ。しかも、その価格が劇的に下がる可能性が高いことだ。一部の新聞報道では、トヨタは2015年に販売する車種で1台500万円程度を目指している模様。ホンダも、2015年には間に合わないが、2020年の段階で同500万円以下を目標にしていると伝えられている。

 2002年当時のリース価格は、トヨタの燃料電池車「FCHV」が120万円/月、ホンダの燃料電池車「FCX」が80万円/月だった。一般販売しないため当時は車両価格というものは存在しなかったが、価格を付けるとしたら「1億円以上」と言われた。まさに、それが1/20程度になろうとしている。自動車としてはまだ高価なことは確かだが、燃料電池車は決して手の届かない存在ではなくなりつつあるのだ。