植物を原料とするバイオプラスチックは、石油資源の保全や地球温暖化の防止に寄与する新材料として注目を集めてきました。現在では石油系プラスチックと同等の特性を実現し、食品の梱包容器やシート、繊維などでの利用が拡大しています。

 一方、電子機器などの耐久製品への採用は、食品梱包容器などに比べて進んでいません。耐久性などの特性面の要求が、さらに厳しいためです。そういえば、過去には各社が競うように携帯電話機やパソコンなどに搭載していましたが、最近はあまり採用事例を聞きません。

 しかしここへ来て、バイオプラスチックの特性が急速に向上してきました。ポリ乳酸をベースとするバイオプラスチックでは、傷防止性や耐光性、抗菌性などで、従来の石油系プラスチックを上回る特性を達成したといいます。このうち傷防止性には、難燃剤として添加した水酸化アルミニウムの硬さが寄与しています。

 さらに、将来の食糧問題に対応するために、原料が従来の食用から非食用へ切り替わりそうです。非食用原料として有望なセルロースを利用する研究が成果を上げています。こちらも、耐熱性や曲げ特性などで、石油系プラスチックを超える特性を得ました。コストについても、製造に要するエネルギーを大幅に削減する研究が進んでいるようです。

 日本の製紙メーカーは、優れたセルロースの生産技術と製造設備を保有しています。IT化で紙の需要が減少しているため、こうした技術と設備をバイオプラスチックに活用することができそうです。

 このように、特性面やコスト面での改良を経て、バイオプラスチックの採用が再び活発になる機運が高まってきました。進化を遂げるバイオプラスチックの基礎と最新情報に興味がある方は、8月6日に開催のセミナー「バイオプラスチックの基礎から最新動向まで」に、ぜひご参加ください。長年にわたってバイオプラスチックを開発してきたNECの位地正年氏に、じっくり解説してもらいます。