従業員の平均年齢

 企業トップの年齢や性別は、メディアにおいてもよく注目されているが、企業全体の活力と密に関連している従業員の平均年齢に対する関心は少ない。

 『ホンダ イノベーションの神髄』(小林三郎著、日経BP社)という本によると、同書の著者がホンダに入社した1971年のホンダの従業員の平均年齢は24.6歳だった。現在は何歳ぐらいか? きっと20代ではないだろう。

 日本の電機メーカー大手の従業員の平均年齢は、ほとんどが熟年の域である40代と言われている。近年の不況で新卒採用はどんどん減っているので、若者からの活力も減少傾向にあり停滞に拍車をかける。

 一方、報道によると、韓国Samsung Electronics社や米Apple社の従業員の平均年齢は30過ぎぐらい。中国のHuawei Technologies社では現在、従業員の平均年齢はなんと29歳、トップ管理層の平均年齢は46歳。中国のIT企業は、日本のIT企業とほぼ同時期に立ち上げられていることから従業員の平均年齢もほぼ同じぐらいたが、CEメーカーやICT(Information and Communication Technology)メーカーに関して言えば、中国ではほとんどが1980年代か1990年代に創業されており、企業の年齢も従業員の平均年齢も日本の同業他社より随分若い。

 機械系やインフラ系の仕事であれば熟練の技というものがあり、ベテランにも活躍の場があるが、IT系では技術が日進月歩で進化しているため、どうしても若い人が有利になる。新技術の習得やチャレンジ精神が求められるそのような業界では、若者の貢献は大きいだろう。一方、企業にとっては、従業員のコストは、年齢の上昇に伴い年々増加している。いかに従業員を若返らせていくのかが日本の大きな課題だ。企業トップの年齢が若いと、従業員の平均年齢も若くなる傾向があるので、そこに課題解決のヒントがあるだろう。