3D-CADで立体形状を作成するときの方法には、大きく分けて2種類ある。

 そのうちの1つは、寸法の値や直角、平行といった図形同士の関係を決めることで、結果として形状を得る方法。これをパラメトリック・モデリングと呼ぶ。今日の多くのCADで用いられるのが、この方法である。

 対照的に、立体形状をCAD上で引っ張ったり押したりして形作っていく方法をダイレクト・モデリング(ダイナミック・モデリング)と呼ぶ。設計対象やCADの使用場面の違いによって、両者のどちらかが向くかは異なるため、最近は両方の操作を併用できるCADが増えてきた。

拘束条件で形状を作る

 パラメトリック・モデリングの基本となる考え方は、形状は拘束条件によって導かれるというもの。それまでの、ソリッドモデル(機械部品などの形状を立体的に閉じた境界で表現するモデル)を扱う3D-CADでは、図形同士の合体、共通部分の抽出、差部分の削除といった操作(ブーリアン演算)や、頂点や線の移動といった原始的操作しかできなかった。そこでの、モデルの再利用性を高め、さらにモデリング操作も容易にする技術として1980年代中ごろに米PTC社(当時Parametric Technology社)などが開発した。

 パラメトリック・モデリングによるモデルには、拘束条件の積み重ねが「ヒストリ」として記録されており、このヒストリの再利用ができるのも長所である。例えば、一部の寸法値の変更のみで類似形状を容易に作成できる。しかし、モデリングの初期に設けた拘束条件を変更すると、形状の生成し直し(再生)に時間がかかったり、場合によっては拘束条件同士が矛盾を起こしたりするという弱点がある。